ノルウェーで極右思想を持った男が77人を殺害した連続テロ事件から11年。「寛容さ」で「憎しみ」に対抗すると宣言したノルウェーですが、今、この事件にどう向き合っているのでしょうか。
22日、首都オスロの政府庁舎前で行われた追悼式典。
2011年7月22日、極右思想を持った男が政府庁舎前で爆弾を爆発させた後、与党・労働党の青年部がサマーキャンプをしていた郊外のウトヤ島を襲撃、合わせて77人を殺害しました。
労働党の寛容な移民政策を敵視し、「ヨーロッパをイスラム化から守る」との身勝手な動機からでした。
記者
「こちらは、ウトヤ島で犠牲になった69人の名前と年齢が刻まれた慰霊碑です。10代、20代の方がほとんどですが、中には14歳で亡くなった方もいらっしゃいます」
13人が殺害された部屋には亡くなった場所に犠牲者の写真が。犠牲者一人ひとりについて書かれた「思い出の本」も展示されています。
ウトヤ島の生存者 アイナンスハウグさん(27)
「犯人は2発発砲し、1つは私から1メートル離れた所に当たりました。とても衝撃が強かったので撃たれたと思いました」
生存者の一人、アイナンスハウグさんです。40人の仲間と小屋に逃げ込み、難を逃れました。
ノルウェー政府は事件後、「より寛容な国を作る」と宣言しましたが、アイナンスハウグさんは、ソーシャルメディアで誰でも意見を発信できるようになり、少数派に向けられる憎悪が増えてきていると感じています。
実際に、オスロ中心部では今月、口論する極右団体とイスラム教徒らの姿が。
極右団体リーダー
「ノルウェーに住んでいるくせにイスラム法に従って生きたい人は国外に追放したいんです」
3年前には極右思想を持った男がモスクを襲撃。
先月には、イスラム過激思想を持つ男が性的マイノリティの人たちを標的にしたと見られる銃撃事件を起こし、2人が死亡しました。
アイナンスハウグさんはこうしたヘイトクライムに「憎しみで反応することはブレイビク受刑者に負けることになる」と訴えます。
アイナンスハウグさん(27)
「彼に負けたくはありません。憎悪がどれほど危険をもたらすかを、体験として目の当たりにしました。憎しみをもたないことが大切です」
事件から11年。ノルウェーは社会に潜む憎しみを克服していけるのか、改めて問われています。
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