「言っていることとやっていることが違う」
小川彩佳キャスター:
去年(2023年)と同じ水準の「5%」という成長を示しましたが、どう捉えていますか。

立山芽以子 北京支局長:
とてもチャレンジングな数字だと思いました。実体経済とは、かけ離れていると感じています。
北京でもレストランの閉店などが相次いでいたり、最近は消費期限が近い商品を格安で扱うスーパーが大人気だったりと、市民の間には節約志向が広がっています。消費の低迷は顕著だと感じます。
小川キャスター:
そうした中で、日本企業も中国での事業を縮小していくという動きも出てきています。中国経済への先行きの不安が背景にあるんでしょうか。

立山芽以子 北京支局長:
悲観的な見方が広がっていると思います。
中国に進出している日本企業を対象にしたアンケートでは、約4割が2024年の中国の景気は悪化するとみています。
中国政府も、外国企業による直接投資が2023年に前年比で約82%の減少だったという事実に危機感を持っており、2024年3月5日(現地時間)の李強首相の演説にも、「INVEST CHINA(中国に投資を)」、と投資を歓迎しますという記述がありました。
ただ、投資をしぶらせている原因が、中国政府自身にあるという皮肉な事態が起きているのも事実です。
2023年、北京でアステラス製薬の男性社員がスパイ容疑で拘束されました。この衝撃は大きく、「中国に駐在していて大丈夫なのか」という不安を与えています。
また、日本企業の幹部からは「『投資してください』と言いながら、いざ具体的な話になると全然話が進まない。つまり、中国は言っていることとやっていることが違うよね」という不満も聞かれます。
中国政府からのメッセージがちぐはぐなこと。これが投資をためらわせる最大の原因ではないかと思います。