中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海で、また両国の船舶が衝突する事態が起きました。フィリピン沿岸警備隊は映像を公開し、「無謀かつ違法な行動だ」と中国側を非難しています。

南シナ海で5日に撮影された映像。中国海警局の艦船とフィリピン沿岸警備隊の巡視船が接近しています。その直後、両国の船は衝突しました。

映像を公開したフィリピン沿岸警備隊は「無謀かつ違法な行動でフィリピンの巡視船が損傷した」として中国側を非難しました。

現場の海域は、中国側がフィリピン軍の駐留拠点となっている軍艦の撤去を求め、対立しているアユンギン礁の周辺です。アユンギン礁付近では、去年12月にも中国艦船とフィリピンの船舶が衝突する事態が起きるなど対立が深まっていました。

両政府は今年に入り、南シナ海の緊張緩和に向けた協議を開き、対話を継続することなどで合意していますが、領有権争いが再びエスカレートするおそれがあります。

一方、中国外務省の報道官はこの衝突の際の中国側の対応について、「法に則ってフィリピン側の船舶に対し、必要な規制措置を取った」と説明し、フィリピン側を非難しました。

中国外務省 毛寧 報道官
「中国外務省はすでにフィリピン側に厳正な申し入れを行い、強烈な抗議を表明した」

また、中国海警局の報道官も談話を発表し、「フィリピン側の船が中国側の船に故意に接触した。責任は完全にフィリピン側にある」などと主張しました。

そのうえで、「いかなる侵害や挑発行為にも断固として反撃し、国の領土主権と海洋権益を断固として守る」と強調しています。