ある中国人女性の死…

さらに、こうした国民への規制は、時に深刻な人権問題にもなります。それを象徴するような出来事が、日本でも…

3月2日、都内の斎場で一人の中国人女性の葬儀が行われました。

亡くなったのは日本に留学中の唐正琪さん。3年前から重病を患っていましたが、2月20日亡くなります。しかし、その葬儀の場に、父親の姿はありませんでした。

娘の葬儀にも出席できない…

葬儀の参列者「娘に会うことすら許さない中国政府は非人道的です」

父親は、中国の元人権派弁護士、唐吉田さん。長年、立ち退きを強いられたり、宗教活動を制限されたと訴えたりする市民の弁護を行ってきましたが、政府批判を繰り返したためか、弁護士資格が剥奪されました。

その後も市民に法律面からのアドバイスを続ける中、3年前、日本にいる娘の重体の知らせを受けます。

唐さんは、何度も日本に渡航しようとしましたが、当局は「国家の安全 に危害を加える恐れがある」と出国を拒否し続けました。

唐吉田さん「あまりにも理解出来ません。自分の子の面倒を見ることが、どうして『国家の安全』を害することになるのか?」

結局、唐さんは娘に会えず、葬儀にも参加できないまま、現在、連絡も途絶えているといいます。

亡命を希望する中国人が急増中

国民に強権的な姿勢を見せる中国。こうした中、現在国外にいて、「亡命」を希望する中国人は去年だけで12万人以上。2010年の15倍に。

さらに、この厳しい統制が中国の経済的苦境を深めていると専門家は指摘します。

東京大学大学院・阿古智子教授(現代中国研究)「独裁的な権力がどんどん大きくなる中で、誰が安心して投資できますか? 経済もこのような環境では回復しない。自分で墓穴を掘り続けている状況だと思います。悪循環に入ってしまっている」

次々と市民から自由が奪われつつある、今の中国…。周庭さんは、公開された動画をこう結んでいました。

周庭さん(香港・民主活動家)「自分が今、カメラの前で自分のことを話せる自由は、当たり前のことではないと思う―」

(「サンデーモーニング」2024年3月3日放送より)