今治で出会った 元日本代表監督・岡田武史さんの“教え”
「育成年代、自分も若いコーチとしていろんな試行錯誤をしながら、サッカー協会でもいろんな指導者に出会い、影響を受けながらやってきましたが、でも本当にトップオブトップのチームでやっていた人と接するのっていうのは、岡田武史さんが初めてだったんですよね」

こう話した橋川監督。岡田さんからサッカーの話はもちろん、チームマネジメントや、最後に勝つところをどうするか…など様々な話をしたといいます。
「『準備の失敗は、失敗の準備をすることなんだよ』って。『良い準備、良い準備』って普通は言うじゃないですか。『いい準備は良い結果になるよ』って。でも、岡田さんの言い方は『準備の失敗は失敗の準備をする』という表現なんですよ。こういう言葉をひとつとっても、本当に『勝者のメンタリティ』とか『リーダーシップ』は、岡田さんの影響がありますね」
そして、今治の地で新たな指導方法ができることになります。それが『岡田メソッド』です。自立した選手の育成を目指して岡田さんが提唱する育成スタイルで、16歳までにプレーモデルと呼ばれる原則を体系的に学んでもらおうというものです。海外から“輸入”されたプレーモデルそのままではなく、日本人に合ったプレーモデルを用いることで、日本人としての良さを活かそう。そういう考えでもあります。
「“プレーモデル”というプレーの原則を16歳までしっかり教える。武道の『守破離』の考え方の、プレーの原則を『守』とする。その後、自分で『守』を破り、自分の世界を作っていく。日本人ってどうしても『自由にやらせましょう。自由にやってみよう…』と指導することもあるが、『自由なものに、本当の自由はない』ので…」
「自由とは、無秩序ではない」
橋川さんは、こう強調したうえで、「原則をしっかり教え込むことがティーチングで、その原則をもとに、選手の判断をどう引き出すか、導くか、それがコーチングと話します。