「目標があったから生きてこられた」リハビリを続ける理由は『職場復帰』

西田さんは週に1回、大阪府内の病院へリハビリに通っています。この3年間で少しずつ言葉を取り戻していきましたが、現在も長い文章などは理解しにくい状態が続いています。
(西田さん)「アドバイスする時に言えないというこのもどかしさは一生続くのか」
(言語聴覚士)「言いたい内容はあるけど言いたい言葉として出てこない?」
(西田さん)「どう言ったらいいのか…このことを言いたいのに言葉が出てこない」

(坂本診療所 言語聴覚士・柳沙織さん)
「しゃべる成功体験がすごく大事で、患者さんにとっては。みなさん一度しゃべれなくなったっていうことで自信をなくされるんですよね。年単位でもリハビリしていけば改善していくという話をしっかりしました」

西田さんがリハビリを続けるのには理由がありました。
(西田小百合さん)
「仕事が好きで、帰りたいという思いがあったので、苦しかったけど、目標があったから生きてこられたと思います」
発症前の仕事に復帰できた割合は「1割未満」というデータも
脳梗塞で倒れる前、兵庫県の川西市役所で保健師として働いていた西田さん。あの頃と同じ仕事がまたしたい。しかしその思いと裏腹に厳しい現実が待っていました。 【当時の思いをつづったSNSより 2021年】
「人事の担当者の方へ『復職希望します!』強い意志を伝えた。『前例がない』。また元気にはたらいてもらうことができます!と言ってもらいたかったのに」
直面した職場復帰の難しさ。2015年に実施された高次脳機能障害全国実態調査では、失語症患者が発症前の仕事に復帰できた割合は1割にも満たないといいます。

西田さんは失語症の人などが集まる会に参加しました。会に参加した女性は、夫が失語症で、職場復帰の壁に直面したと話します。
(夫が失語症という女性)
「(夫は)3年ほどリハビリしていたけど、リハビリが終わって職場復帰の話を会社にしたところ、『この人が1人入ると誰か1人つけないと仕事ができない。それやったらとても無理です』って、その時に言われましたね」














