能登半島地震で落ち込んだ観光需要の喚起を目的とした「いしかわ応援旅行割」。

石川県は28日、北陸新幹線が県内全線開業する来月16日からの開始を発表しましたが、県内の観光業界は、どのように受け止めているのでしょうか。


「いしかわ応援旅行割」は、旅行・宿泊料金の50%を割り引くというもので、旅行商品によって2万円から3万5千円の割引限度額を設けています。応援割のスタートの時期をめぐって問題となったのが、能登からの2次避難者を宿泊させながら観光客を受け入れるという両立が可能かという点でした。

加賀市の山代、山中、片山津の3つの温泉地のホテルや旅館などでつくる「加賀温泉郷協議会」は、北陸新幹線敦賀開業後の4月以降も2次避難者を受け入れることを決め、観光客と避難者を同時に宿泊させる「両立」を選択しました。


加賀温泉郷協議会・和田守弘会長
「観光需要が冷え込んでる中なので、需要が戻ってこないことには各旅館の経営自体がなかなか立ち行かない、難しい雇用の問題もありますし、何とかそこをしっかり戻していきたい。両方をしっかりやっていきたいということです」

しかし、同じ温泉街でも2次避難者をおよそ100人、受け入れている旅館は、玄関、建物がひとつしかなく両立はできないと観光客の受け入れを断念。被災者支援のため赤字ギリギリの経営を強いられているといいます。県は、こうした不公平感をなくすため2次避難者の受け入れ人数に応じて予算を追加配分をする方針です。


一方、観光地などの被害が比較的少なかった金沢。兼六園の茶店通りにある日本茶カフェでは、去年11月のオープンから2か月を待たずに地震が起きました。

陶芸喫茶東山・浦真吾店長
「観光客は外を見ても全く歩いていない状態が続いたので…。期待しています」


地震の被害を大きく受けた七尾市の和倉温泉。200年以上の歴史をもつ「美湾荘」は、建物の損傷が激しく建て替えの検討もしているといいます。


美湾荘・若女将多田直未さん
「早い段階で応援割ができたことはよかったと思っている。時間はかかりますが能登半島が和倉温泉が復活した時には応援していただけると信じてますし、それまでは周りの温泉地の方に北陸に足を向け続けていただいて。北陸を忘れないで、能登を忘れないでいてくれたらうれしいと思う」