日本最大規模の府中刑務所…『居室の扉や窓などを破壊』『トイレの汚物ぶちまける』受刑者も

府中刑務所は古くは1790年(寛政2年)に設置された石川島人足寄場をルーツに持ち、1924年(大正13年)、前年に起きた関東大震災の影響で府中に移転、建設された。東京ドーム5~6個分の敷地に収容定員2668人を誇る日本最大規模の刑務所である。取材時の受刑者は1594人でこのうち外国人が346人を占める。というのも府中刑務所は主に刑期10年未満の犯罪傾向が進んだ日本人受刑者と外国人受刑者を収容している。外国人はほぼ初めての入所だが、日本人はいわゆる累犯で平均の入所回数は5回、最多は25回の者もいるという。窃盗や覚醒剤などの薬物による罪での入所が7割を占め、約4割が暴力団関係者である。後述するが府中刑務所を含めいま刑務所には高齢化と矯正を含めた処遇の課題が重くのしかかっている。
所内を見学する前に、施設の概要のレクチャーを受けた。その中には対応が特に困難で緊急対応をとったという事例の動画もあった。居室の扉や窓などを椅子で破壊する者、トイレに溜めた汚物をぶちまける者、仲の良い受刑者と離されたことに怒り、作業所で高所に登って威嚇する者。テレビ番組などで見慣れた「規律の保たれた刑務所」とはまた違う一面を見せられ受刑者対応の難しさと同時に刑務官の仕事の厳しさに触れた。