「爽春(そうしゅん)」という品種の無花粉スギは、雄花はあるものの花粉の細胞どうしが融合してしまうため、花粉ができません。

県林業技術総合センター 千葉利幸企画管理部長:
「これは国が開発した爽春という品種と、県内の精英樹(優れた個体)である『栗原4号』を掛け合わせたものなんですけど」

気温が低い宮城でも育つ「栗原4号」というスギが、無花粉の遺伝子を持っていると分かったのは5年前の2019年。

しかし、爽春とかけ合わせた品種を実際に植林するためには、育ててみて、木材としての十分な強度があるかを確認する国の検査も必要になります。

センターは2035年度の出荷開始を目指し、将来的には年間14万本の無花粉スギの苗木を生産する計画です。

県林業技術総合センター 千葉利幸企画管理部長:
「私どもはこれから山で植え替えられるスギについては、全て少花粉、また将来的にはこの無花粉スギを供給することによって、30年後の花粉量の半減を目指して頑張っていきたいと思っています」

花粉症対策の切り札とも言える花粉の出ないスギの開発。植え替えにはまだまだ時間がかかるものの、その取り組みには大きな期待が寄せられています。

花粉症対策には国も力を入れ始めていて、2月には、花粉の少ないスギに植えかえる際に財政支援をより大きくする重点区域を全国に設けました。宮城県内ではスギ林全体の10%にあたるおよそ1万4000ヘクタールが指定されたということです。