睡眠不足は脳にどんな影響を 小さくなってしまう「記憶の座」
──なぜここまで悪影響があるのでしょうか?
「5歳から18歳の子どもを対象にした東北大学の研究があります。MRIを使い、脳の中にある『海馬』という構造の大きさを画像から計算しています。
海馬はいわゆる『記憶の座』。例えば、アルツハイマー病で最初に障害が起きるのが海馬とされています。研究結果を見ると、睡眠時間と海馬の大きさには明らかな相関があります。よく眠ってる子どもの方は海馬が大きく、寝不足気味の子どもは海馬が小さいという傾向です」

──大きい方が良いんですか?
「記憶に関与する重要な構造ですので、海馬が小さいというのは、どう見ても良くないですね。
この研究は海馬に注目した論文でしたが、その後の調査や研究で、海馬だけでなく色々な部位の構造に影響すると(分かりました)。慢性的な睡眠不足というのは、脳の重要な構造の正常な発達に影響しうるという論文がかなりの数出ています」