安倍元総理の「国葬」岸田総理の判断理由が薄弱…説得力伴う説明を

ーー安倍元総理大臣の葬儀は今秋に『国葬』で行うと岸田文雄総理大臣が発言しましたがその点についてはどう感じましたか?
「今、内閣府が設置法というのがあってそれを援用してやろうということであって、まさに基準作りがないまま行われているというところが、今の岸田さんが決めた国葬の最大の問題点ですね。やや例は違いますけども、1989年に1月7日に亡くなった昭和天皇の『大喪の礼』を2月24日にやりましたけども、これは法律的な根拠があるわけですね。天皇が崩御した時には大喪の礼を行うと。しかし詳細にどうやったらいいのかというのは一切決まっていなくて、ただその後は政府の中でかなり検討してですね、国民に非常に周知をしながら、こういう形でやりますよというのを決めたんですが、今回の決断はまさに岸田さんの政治決断というですね。つまり佐藤榮作元総理が亡くなったときに、吉田茂元総理を引き継いで国葬にしなかったのは、『国葬は果たして良かったのか』とそういう疑念が残ったんだと思いますね。そこで「国民葬」という非常に曖昧な中間的なところで国民世論を収めていくと、そういう手法がとられたものです。小渕さんの合同葬も、国葬に近いような例えばアメリカのクリントン大統領が来たりで、そういうことは十分可能なわけですから、やはり基準を明確にすると、それは今後これからでも遅くないんですね。国葬の日までに。岸田さんが明示した3つの非常に政権の期間が長かったとかですね、国際社会で悼む声が強いとか、日本の民主主義の国家だということを国際社会に知らしめるっていう3つが岸田さんの国葬にした理由だったんですが、非常に薄弱でですね、説得力が伴わないと。これから9月末まで時間があるわけですから、その間にきちっと国民に説明できる。安倍さんの国葬の根拠ということについて説明責任が岸田さんにはあると思います」
立民・辻元さんら野党から反対の声

ーー実際に反対する発言もありまして、立憲民主党の辻元さんはTwitterで『安倍元総理の国葬に反対します。どんな功績や基準で判断されたか不透明だ』と発信しています。秋までは「服喪期間」であるということは、人事の話は控える雰囲気だと、そうすると岸田総理の求心力が高まるんじゃないかという計算が故人を弔うという裏側にあったんじゃないかと後藤さんそういうことなんですね?
「私はその1つだと思いますね。あともう1つは、安倍元総理自身が言っていた岩盤支持層という保守層をいっぱい抱えているわけですね。そこに対する、離反を招かないという判断があったと思います。それから国葬すれば世界各国から要人が日本を訪れるわけですから、その中心に位置するのが岸田さんになるわけですね。岸田外交を全面展開するという意味では、あらゆる意味で岸田さんが主人公になると、おそらく瞬時に判断した多くの最大の理由だなというふうには考えています。岸田総理と安倍元総理は非常に緊密な関係でもあったんですね。93年に初当選したとき、お2人は自民党から出たんですが、当選したら野党だったと。極めて特殊なスタートしているわけですね。そして岸田さんがよく言っていることとして、安倍さんと自分はずっと自民党だという連帯がすごくあるんですね。この間、野党との離合集散、あるいは自民党自体が分裂したりと、自民党でずっとやってきた人は非常に少なくて、その中の数少ない同士が安倍さんだったと」

ーー国葬が想定されている今年9月までの間に議論をする何か形が変わるなど再考するということになるのでしょうか?
「一応野党側は閉会中審査というのを求めているんですね。これについてきちっと議論しましょうと。それは岸田さんがきちっと受けて立ってですね、もう一度きちんと整理した形で国葬をやる理由は、国民に説明した方がいいと思います」
(2022年7月19日放送『よんチャンTV』より)