(ブルームバーグ):29日の原油相場は反落。サウジアラビアの主要パイプラインを経由した原油供給が増え、米国とイランの協議停滞を巡る懸念を相殺した。
ドローン攻撃を受けて損傷したサウジの東西パイプラインは、輸送能力が約半分まで回復したとされる。ホルムズ海峡の通航が混乱する中、同パイプラインは重要な代替ルートとして、世界の市場にとって生命線となっている。
海上輸送にはなおリスクが残るものの、船舶は位置情報を発信しない状態で航行を続け、ペルシャ湾からホルムズ海峡を通じて一定量の原油が運び出されているもようだ。
またトランプ政権は、戦略石油備蓄(SPR)から最大4000万バレルを追加放出する方針を発表。原油価格の重しとなった。米国では中間選挙まで2カ月を切る中で燃料価格が急騰しており、エネルギー価格の上昇を抑制する狙いがある。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「ホルムズ海峡を通過する原油が増え、サウジの東西パイプラインも再稼働したことで、市場には供給面で一定の安心感が出ている」と指摘した。
「問題は今後のイランの出方だ。ホルムズ海峡を巡る影響力の低下で交渉に傾くのか、影響力を取り戻そうと緊張を高める戦略に傾くのかが焦点となる」と述べた。
30日に期限を迎える北海ブレント11月限は、前日比2.69ドル(2.6%)安の1バレル=102.59ドルで終了。中心限月の12月限は1.7%安の96.16ドルで終えた。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)11月限は同3.22ドル(3.5%)安い89.38ドルで引けた。
原油は月間で3カ月連続の上昇となる見通しだ。背景には、イラン戦争やサウジの東西パイプライン経由の供給混乱、米政府によるディーゼル輸出規制の可能性がある。
現物原油の供給は逼迫(ひっぱく)しているものの、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は、追加の石油備蓄放出を最優先課題とするには、エネルギー危機が「はるかに深刻になり」かつ長期化する必要があるとの見方を示した。
ペルシャ湾岸の産油国は、イラン戦争による混乱が続く中でも市場への供給を維持する方法を模索している。オマーンはホルムズ海峡の外側に位置する港湾で、石油貯蔵能力を2倍以上に増やす計画を立てており、顧客が同海峡への依存を減らせるよう支援する。
戦争開始から8カ月目に入る中、米国とイランは先週ニューヨークで行った協議で、ほとんど進展を得られなかった。カタール外務省の報道官は29日、同国が現在、米国、イラン双方と会合を開き、解決策を巡って意見を交換していると説明。妥協点を見いだすことに注力していると述べた。
一方、トランプ米大統領は、政治犯の釈放と引き換えに対ロシア制裁を緩和する案を支持していると、米誌アトランティックがジョン・コール米特使の話として報じた。産油国のロシアは、制裁によって原油輸出が難しくなっている。
原題:Oil Drops as Saudi Arabia Ramps Up Flows Through Key Pipeline(抜粋)
--取材協力:Mia Gindis.
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