(ブルームバーグ):米中間選挙での上院議席を巡り、これまで多くのアナリストが主戦場となることはないとみていた州に政治的攻防が広がっている。共和・民主両党は選挙戦に投じる資金を増やしており、今回の中間選挙は米史上最も多額の資金が投じられる選挙となる見込みだ。
11月3日の投票日まで30日余りとなり、既に全米の約半数の州で期日前投票が始まっている。民主党は生活費高騰への有権者の不満が、共和党の潤沢な資金力を上回る追い風になることを期待している。
広告調査のウェブサイト、アドインパクトによれば、これまでに投じられた資金は推計116億ドル(約1兆8300億円)と、2024年大統領選の選挙戦全体の支出額を上回る。
上院選は当初、共和党優位とみられていた。トランプ氏が24年に大統領選を制した後で、民主党の現職が苦戦を予想されながら改選を迎える州が多かったためだ。
しかし、ここ数週間ではアイオワ、カンザス、アラスカ、オハイオなど、従来は勝利の可能性が低いと考えられていた州で、民主党候補がリード、あるいは支持を伸ばしている。テキサス州でさえ、その傾向が見られる。民主党が上院の過半数を奪還するには、4議席の上積みが必要だ。
共和党ストラテジストで、現在は企業向けのアドバイザーを務めるケビン・マッデン氏は「情勢の方向が見え始めるにつれ、本当に五分五分の争いだと誰もが考えるようになっている。接戦が非常に多い」と述べた。

共和党ストラテジストの1人によれば、過去2週間に実施した同党内部の世論調査で、トランプ大統領と共和党への支持が急落していることが分かった。有権者からは、経済面での懸念を政権が真剣に受け止めていないとの声が上がっているという。このストラテジストは機微な情報だとして、匿名を条件に語った。
超党派の選挙分析サイト、クック・ポリティカル・リポートは現在、7州の上院選を「五分五分」とみている。1世紀近く前のフランクリン・ルーズベルト政権以降、民主党の上院議員を選出していないカンザス州でも、「共和党がやや優勢」という程度だとしている。2年前の大統領選でトランプ氏が16ポイント差で勝利した州としては、大きな情勢変化だ。
共和党の危機感
全米の選挙情勢を巡る共和党の危機感は、ここ数週間で鮮明になっている。トランプ政権がイラン戦争を終結できないでいることや移民らの強制送還策、生活費高騰などに対し、共和党議員の間から異論を唱える動きが出始めた。
米住宅ローン金利は急上昇して7%を上回ったほか、ホワイトハウスは複数の報道機関を締め出そうとした。中国の習近平国家主席を迎えた米中首脳会談は実質的な成果に乏しく、儀礼的な色合いが強かった。共和党内の不満はこうした状況下で噴出した。
ホワイトハウスによれば、トランプ氏は中間選挙までの最後の数週間、共和党候補を応援するための選挙集会を精力的に開く予定。ただ、最近の訪問先は、共和党支持が極めて強い州や選挙区が大半となっている。
民主党ストラテジストの1人によると、同党は、トランプ氏が意図せずに行ってきたあらゆることが上院選での主戦場拡大につながったと受け止めている。2年前の大統領選でトランプ氏が大差で勝利した州でも対立候補を擁立していると述べた。
州・地方レベルの民主党指導者で構成するネットワーク「NewDEAL」の最高幹部、デビー・コックス・ブルタン氏は「長い間、機会がなかったような地域でも、今は勝機がある」と述べた。
資金力
共和党にとって最大の強みは、引き続きその資金力だ。クック・ポリティカル・リポートが五分五分とみる7州の上院選全てで、共和党の支出額が民主党を上回っており、一部では大差がついている。
広告調査アドインパクトによると、メーン州では投票日までの広告枠について、共和党系の団体が3700万ドル分を確保しているのに対し、民主党側は2400万ドルにとどまる。
テキサス州では同じ期間に、共和党側が5900万ドルを投じる予定なのに対し、民主党はわずか400万ドルだ。
共和党の圧倒的な資金力を支えているのが、外部の豊富な資金。ケン・グリフィン、イーロン・マスク、ミリアム・アデルソン、ジェフ・ヤス各氏ら富豪が、特別政治活動委員会(スーパーPAC)に巨額の献金を行っている。

民主党支援者の間では、カマラ・ハリス氏が24年大統領選でトランプ氏に敗れたことに失望して献金を控える動きがあったが、一部は再び資金を出し始めている。民主党ストラテジストが述べた。
ただ、同党の著名な大口献金者は、それぞれが抱える事業への影響を考慮し、多額の献金をすることでトランプ政権の反感を買う、ないし注目されることへの警戒感が依然強い。
一方、共和党の献金者の多くは、自らの資金が結果を左右し得ると考える選挙戦に、重点的に資金を投じている。
WABCラジオのホストで、共和党の資金調達に携わるエリック・レビン氏は「共和党が上院で過半数を失うと決めつけるのは時期尚早だ」と指摘。「われわれは、まずまずの結果を残せると思う」と述べた。
原題:Shifting Senate Map Is Fueling Most Expensive Election Ever (1)(抜粋)
--取材協力:Josh Wingrove.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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