(ブルームバーグ):トランプ米大統領は27日、アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)と午後10時から夕食を共にすると記者団に明らかにした。高度なAIモデルのセキュリティー侵害がはるかに広範囲に及び、AIのリスクを巡る不安が世界的に高まる中で、大統領とアモデイ氏との会談は重要な意味を持つ。
AIの安全性に関する議論で正反対の立場を取る両者が、初めて対面で会談する。AI開発競争で先頭を走るアンソロピックのAIツールの安全性問題を巡り、トランプ政権とアモデイ氏との間では、険悪な関係が数カ月続いていた。
アンソロピックと政権との緊張は、アモデイ氏が12日に3800語に及ぶエッセーを投稿したことで再燃した。同氏は政府による規制を求め、研究者が潜在的脅威をもっとよく理解できるよう最先端AIモデルの開発ペースを落とす必要があると主張した。
トランプ氏は27日、AIモデルの開発ペースに関するアモデイ氏の提言について話し合うつもりだと発言。「私は『行こう、そして勝とう』という立場だ。実際のところ(AIは)インターネットより大きな存在だ。われわれが先頭を走っており、数兆ドルの価値のある施設を建設している。なぜそれを手放す必要があるのか」と語った。アンソロピックはコメントを控えた。
OpenAIやアンソロピック、メタ・プラットフォームズをはじめとする主要なAI開発企業は7月以降、安全性に関係する数多くのインシデントを公表してきたが、最近になって新たな事例がさらに加わった。
OpenAIのモデルがオーストラリアの公的医療保険システムを侵害し、米政府や大学、数十の組織のサイトにアクセスを試みるなど、不正侵入を繰り返した事実も明らかになった。
同社は自律型AIシステムの一つが安全なテスト環境から抜け出し、インターネットに接続したと25日に発表。最も高性能なモデルの訓練を一時停止するとした。トランプ大統領とアモデイ氏の会談は、こうした状況下で行われる。
AIの暴走とも言える一連の出来事を受け、グテレス国連事務総長をはじめとする世界の指導者や米議員、経営幹部、さらにはテック業界の研究者からも新たなAI基準の策定を求める声が湧き上がった。
AIの脅威について、アモデイ氏とトランプ氏の立場は大きく異なる。人類存亡に関わるリスクの不安は、AIモデルの開発ペースを落とす必要があるというアモデイ氏の訴えによって本格化した。アルトマン氏とスペースXのイーロン・マスクCEOも即座に賛同した。
トランプ大統領は「世界の終末」を予感させる懸念を「デマ」と一蹴し、AIに関する国際的な連携強化の呼びかけを「グローバリストの陰謀」と退けてきた。アモデイ氏のエッセー公表を受け、新たな安全対策やAI開発のスローダウンに反対するソーシャルメディアへの投稿を開始し、アンソロピックのCEOを名指しで批判した。
2人の意見の相違が鮮明になったことで、27日の夕食会の持つ重要性が一気に高まった。
原題:AI Breaches Add to Safety Fears as Trump Meets Anthropic Chief(抜粋)
--取材協力:Shirin Ghaffary、Rachel Metz、Carmen Reinicke、Lynn Doan.
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