中国政府がAI重視の姿勢を鮮明にする中、同国の消費関連株は失われた10年の様相を呈している。

消費セクターは、好調なテクノロジーセクターとは対照的だ。MSCI中国指数の消費財サブ指数はこの半年で約18%下落し、約10年ぶりの安値圏に沈む一方、AI関連銘柄の比重が高いテクノロジー指数は2016年の水準の2倍超に上昇した。直近の決算シーズンでは、MSCI指数を構成する生活必需品企業の利益が市場予想を約50%下回った。

こうした低迷は、中国経済の偏りを示している。政府がテクノロジー分野での覇権を目指す取り組みは輸出拡大を促し、AI企業への資金流入につながっているものの、内需への波及は限定的だ。8月の小売売上高は前年同月比0.4%増にとどまった。

旅行や消費にとって重要な時期である国慶節(建国記念日)の大型連休後も、このセクターに対する投資家の悲観的な見方が和らぐ兆しはほとんどない。

上海ジェイド・ストーン・インベストメント・マネジメントのファンドマネジャー、チェン・シー氏は「今夏のデータで、消費が回復しているとの見方は否定され、なお輸出一辺倒であることが裏付けられた」と指摘。「市場では、それが他のセクターから資金を締め出す形にもなっている。投資家の資金はAIの恩恵を受ける銘柄にますます集中する一方、消費などのセクターは無差別に売られている」と話す。

コロナ禍前とは様変わり

中国の中間層の台頭が世界有数の成長ストーリーとしてもてはやされた新型コロナウイルス禍前とは様変わりし、投資家心理は冷え込んでいる。

長引く不動産不況や所得の伸び悩み、消費者信頼感の低迷で、消費関連株は投資先として魅力を失い、かつての楽観論はほぼ消え去った。消費を支える重要な柱である住宅販売の回復に向け、当局は政策支援を逐次打ち出してきたが、十分な効果は上がっていない。最新のデータでは、住宅価格の下落が続いていることが示された。

チェン氏は、資産価格の安定化や賃金の見通し改善、最低所得の引き上げなどを通じ、当局は消費者信頼感を立て直すことが可能だと分析。ただ、本格的な改善には時間がかかり、段階的に進む可能性が高いとの見方も示した。

最近の決算シーズンでは、消費の弱さが改めて浮き彫りとなった。舎得酒業は業界が「深い調整」局面にあると説明したほか、百貨店運営の南京中央商場は来店客数の減少と客の支出減を指摘した。蒸留酒「白酒」メーカー、貴州茅台酒の上期純利益も減少した。

ブルームバーグがまとめたデータによると、直近の決算シーズンでMSCI中国指数を構成する生活必需品企業の利益は市場予想を47%下回り、一般消費財を手がける企業も約10%下回った。一方、産業関連とテクノロジー企業の利益は市場予想を上回った。

二重の逆風

もっとも、割安なバリュエーションと投資家の少ない持ち高を背景に、市場のボラティリティーが再び高まれば、消費関連株への関心が戻る可能性がある。7月に世界的にテクノロジー株が急落した際には、一時的にそうした動きも見られた。MSCI中国指数の一般消費財と生活必需品の指数は、予想利益に基づく株価収益率(PER)がそれぞれ約11倍と13倍で、情報技術指数の21倍を大きく下回っている。

それでも、中国政府が個人消費を促す大胆な景気刺激策に慎重なことが、当面は消費セクターの重しとなる可能性が高い。

北京を拠点とする投資銀行、香頌資本でディレクターを務める沈萌氏は「中国の消費関連株には、長引く景気減速の中で相場を押し上げる有力な材料が見当たらない」と指摘。「長期的にはテクノロジー分野により大きな成長機会があるとみている。一方、消費関連株はファンダメンタルズの弱さと他の分野への資金シフトという二重の逆風にさらされ続ける公算が大きい」と述べた。

原題:China’s Consumer Stocks Face Lost Decade as AI Steals Spotlight(抜粋)

--取材協力:Abhishek Vishnoi、Winnie Hsu.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.