グーグル・ディープマインドで画期的な囲碁のAIプログラム「AlphaGo(アルファ碁)」を共同開発し、当時のトップ棋士を打ち負かしたトール・グレーペル氏は、親会社のアルファベットの研究所を今夏去った。新たなスタートアップのために多額の資金調達を目指していると事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

非公開情報を理由に関係者が匿名で語ったところでは、グレーペル氏は、初期投資家の少人数のグループから数千万ドルの資金を募っている。より高い評価でさらに数億ドルを調達する可能性もある。予備的協議の段階であり、調達の枠組みや資金の規模は変更もあり得るという。

グレーペル氏のスタートアップ「Metis Reasoning(メティス・リーズニング)」のウェブサイトによると、同社は未知の問題に対応し、何をすべきか判断できるAIの開発に取り組む。ロボット工学、科学、工学分野への応用が期待される。

大規模言語モデル(LLM)の先にあるAIの次の飛躍に目を向ける投資家らは、経験から学び、先を考えて計画を立て、現実世界との相互作用を可能にするシステム構築を目指す研究者らを支援している。アプローチはさまざまだが、AIを単なる答えの生成から、次に何をすべきか決定できる機械に進化させ、より高性能なエージェントやロボットに道を開く共通の野望を抱いている。

資金を段階的に調達する「トランシェ型ラウンド」は、AIスタートアップの間で一般的になりつつある。自信を示し、人材を引き寄せたい新興企業は、高い評価に基づく調達を望んでいる。分割ラウンドでは、初期段階に著名な出資者が比較的低い評価で参画することにより、その後より高い評価で投資家を呼び込むことが可能になる。

AlphaGoは2016年、李世乭(イ・セドル)九段に勝利し、複雑なボードゲームの囲碁で当時のトッププロ棋士を破る歴史的快挙を達成した。AIが実現できる成果への期待を一新したAlphaGoの開発に携わったことも、グレーペル氏に投資家の関心が集まる理由の一つだ。

他の著名研究者では、OpenAIの共同創業者イリヤ・サツケバー氏、AI研究スタートアップ、Ineffable Intelligence(イネファブル・インテリジェンス)の創業者デービッド・シルバー氏もAlphaGoの開発に関与した。イネファブルは人間が生成したデータコーパス(大量の言語データ)ではなく、試行錯誤を通じて学習するシステムの開発を目指しており、シルバー氏は同社のために約10億ドル(約1586億円)を調達した。

ディープラーニング(深層学習)の生みの親の1人として知られ、メタ・プラットフォームズのチーフAIサイエンティストを務めた著名研究者ヤン・ルカン氏も、実世界をナビゲートできるモデル開発に向け、ほぼ同額の資金調達を行った。

グレーペル氏にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。

原題:DeepMind Co-Creator of AlphaGo Seeks Funds for AI Startup(抜粋)

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