(ブルームバーグ):湾岸アラブ諸国は22日、トランプ米大統領との会談で、イランとの戦闘をこれ以上激化させないよう求める見通しだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなど6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)の当局者は、ニューヨークで開かれる国連総会に合わせたトランプ氏との会談を前に、協議を重ねている。関係者らは、機微に触れる内容だとして匿名を条件に語った。
GCC諸国は戦争の終結を強く望んでいる。イランはこれまで、数千に上るミサイルや無人機で湾岸各国の領土や船舶を攻撃してきた。また、ホルムズ海峡の通航混乱が長引いていることを主な要因に、域内経済も縮小または大幅に減速している。
ただ、イランへの対応を巡っては、湾岸諸国の足並みがそろっていない。イランはエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡で、船舶の通航を管理する権利が自国にあると主張しており、これを巡っても各国の見方は分かれている。それでも各国は、米国とイスラエルが2月下旬に始めた戦争の終結に向け、トランプ氏との会談を足掛かりにしたい考えだ。
トランプ氏の方針は定まっていない。開戦からまもなく7カ月となる中、イランへの追加爆撃を示唆する一方、合意を目指す考えも示してきた。トランプ氏は週末、FOXニュースに対し、今週ニューヨークでイランのペゼシュキアン大統領と会談する可能性があると語った。ただ、会談が実現する兆しは今のところない。
「私は大きな決断を下さなければならない」と、トランプ氏は22日、ニューヨークで開かれた国連総会の一般討論演説で述べた。同氏は「イランが国を立て直し、かつてないほど偉大な国を築けるような合意が成立するのか。それとも、私がイランを一気に壊滅させるのか」と続けた。
トランプ氏はさらに、11月3日の米中間選挙後には、イランが「合意に応じる」との見方を示した。
イランは以前から、原油の輸出や重要物資の輸入を阻む米国の海上封鎖が解除されない限り、協議を再開しないとしている。海上封鎖の影響もあり、イランのインフレ率は90%近くまで加速し、闇市場では通貨リアルが急落した。それでも、イラン指導部が態度を軟化させる兆しはない。
イスラム革命防衛隊(IRGC)は22日、長期戦に備えていると表明した。国営イラン通信(IRNA)が報じた。IRNAによると、革命防衛隊の報道官は「国益のために戦う必要があるなら、戦わなければならない。戦争と並行して交渉する必要があるなら、交渉しなければならない」と述べた。
米国とイランの対立は、エネルギー価格を押し上げている。北海ブレント原油は今年に入って63%上昇して1バレル=100ドル前後となり、米国ではディーゼル価格が過去最高に達した。これが世界的なインフレと国債利回り上昇の一因となっている。米国民はこの戦争に強く反対しており、11月の中間選挙ではトランプ氏と共和党への逆風となる見通しだ。
GCC諸国の経済も打撃を受けた。ブルームバーグの調査によると、経済が今年最も低調な9カ国・地域のうち、5カ国をGCC加盟国が占める見通しだ。国内総生産(GDP)はカタールで12%、クウェートで11%減少する見込み。サウジアラビアとUAEも経済の伸びが大幅に鈍り、今年はわずかなプラス成長にとどまると予想されている。
GCC諸国は、イランとの戦争に踏み切れば地域全体が混乱するとして、トランプ氏に自制を求めていた。戦争が始まり、イランが報復に出ると一部の国はより強硬な姿勢に転じ、サウジアラビアとUAEは、イランとその代理勢力への攻撃にも踏み切った。しかし、イランがなお持ちこたえ、近隣諸国に反撃する能力を維持していることから、アラブ諸国は再び外交を重視する姿勢に戻った。
原題:Gulf States to Urge Trump to Avoid Any Escalation With Iran (1)(抜粋)
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