21日の米株式相場は上昇。大型テクノロジー株が買われ、S&P500種株価指数は8月初旬以来の大幅高となった。イラン戦争終結に向けた外交努力への期待から原油価格が下落したことも、相場を支えた。

米長期債利回りは低下。円は対ドルで値下がりし、1ドル=157円台半ばまで売られた。

S&P500種は3営業日続伸。メタ・プラットフォームズの新たなAIエージェントが好調な滑り出しを示したことで、AI業界を巡る楽観が強まり、半導体株が急伸した。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4.3%値上がりし、5営業日続伸した。

メタ株は11%高。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は10%上げて、時価総額が1兆ドル(約157兆3000億円)を突破した。ナスダック100指数は2.8%上昇。北海ブレント原油は4営業日続落し、1バレル=100ドルちょうど近辺で終了した。

トランプ米大統領は、イランのペゼシュキアン大統領との会談を恐らく排除しない考えを示した。FOXニュースがトランプ氏とのインタビューを基に伝えた。ペゼシュキアン氏は国連総会に出席するため「数日中に」ニューヨークを訪れると、イランの半国営タスニム通信は報じた。

フリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ氏は、「外交進展の兆しが見えれば、原油価格が下落し、インフレ懸念も和らぐ可能性がある。一方、情勢が一段と緊迫したり、中東地域からの輸出に支障が生じたりすれば、原油価格が上昇し、消費者を圧迫する。米連邦準備制度理事会(FRB)の次の政策判断を難しくする可能性もある」と述べた。

一方、米中両国の当局者はAIや貿易、投資を巡る協議について前向きな評価を示した。今週予定されるトランプ氏と中国の習近平国家主席の首脳会談を前に、双方が関係安定化を望んでいることが示唆された。

ウッズ氏は「関税の引き下げや重要鉱物へのアクセス改善につながる合意に至るか、市場は注目している」と指摘。「この分野で前向きな進展があれば、テクノロジーや資本財、消費関連株を中心に株価を押し上げる可能性がある」と述べた。

一方、協議が決裂すれば、貿易戦争への懸念が再燃し、市場の変動が激しくなる可能性があると付け加えた。

国債

米国債市場では長期債利回りが低下。原油の下落を背景に、10年債利回りは5%を下回った。

ベスポーク・インベストメント・グループは「株価上昇を実質的にけん引しているのは、原油価格と米国債利回りの低下だけだ」と指摘。「最近はそれだけで十分だ。株式相場は一貫してエネルギー市場と債券市場の動きを手掛かりにしている」と述べた。

モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏率いるチームは、米国株はエネルギー価格の一段の上昇や債券市場の変動に弱く、S&P500種は最大7%下落する可能性があると警告した。

「金融環境がさらに引き締まる、またはエネルギー価格が大幅に上昇することで、近いうちにバリュエーションの調整が一段と進んだ場合、S&P500種は年末に向けて強気相場が再開する前に、7100まで下落する可能性があるとみている」とリポートで述べた。

外為

外国為替市場では円が対ドルで続落し、1ドル=157円台前半から半ばで推移した。

日本がシルバーウィークの大型連休で市場の流動性が低下する中、アジア時間には円は156円台半ば近辺まで上昇する場面もあった。だが、その後はじりじりと水準を切り下げる展開となり、一時0.4%安の157円53銭を付けた。

日本銀行が先週の金融政策決定会合で今後の利上げペースについてより明確な指針を示さなかったことに投資家が失望しているとみられる。

ただ、日銀が18日にレートチェックを実施したとの報道を背景に、為替オプション市場では円高に備える動きも再び強まっている。円安が進めば、日本当局が再びレートチェックや市場介入に動く可能性が高まる。

UBSアセット・マネジメントのグローバル国債・為替責任者ケビン・ジャオ氏は、日本当局が円相場を下支えするため再び介入に動けば、円を売る好機になると指摘した。同氏は日銀による18日の利上げについて、タカ派転換を示すものではないとみている。

「円安につながる基本的な政策は変わっていない」と指摘。「ドル・円は今後さらに上昇する可能性が高く、どこかの時点で当局は再び介入を実施するだろう。そうしなければ面目が立たないからだ」と続けた。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は小幅上昇。先週は週間ベースで約3カ月ぶりの大幅高となっていた。

INGグループの為替ストラテジスト、フランチェスコ・ペソレ氏は「今週は主要な米経済指標の発表が少ないため、原油価格がドル相場を左右する最大の要因となりそうだ」とリポートで指摘。トランプ氏と湾岸諸国の代表との会談に加え、米中首脳会談を巡る前向きな報道がドルを支える可能性にも言及した。

シカゴ連銀のグールズビー総裁は、金融政策当局として、繰り返し発生する根強い供給ショックを無視することはできず、経済に痛みをもたらしかねない対応を取らざるを得ないと警告した。

セントルイス連銀のムサレム総裁は、連邦公開市場委員会(FOMC)のインフレ目標を達成するには追加利上げが必要になる可能性があると述べた。今月の利上げ後も金融政策はなお景気を刺激している可能性があるとの見方も示した。

原油

原油相場は大幅安。国際指標の北海ブレント先物は4営業日連続で下げ、1バレル=100ドル付近で引けた。中東での供給懸念が和らいだほか、米国とイランの戦争終結に向けた外交努力への期待が広がった。

衛星データによると、サウジアラビアではペルシャ湾内からの原油積み出しが週末に急増し、同国のペルシャ湾側の主要港で確認された船舶数が6月以来最多となった。今月、紅海につながる主要な東西横断パイプラインが停止したことを受け、サウジアラビアは原油輸送を再びホルムズ海峡経由に切り替えている。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、トランプ政権は中東諸国のエネルギーインフラ復興を目指す50億ドルのファンド新設を提案した。

準国営イラン学生通信(ISNA)によると、パキスタン内相はテヘランでイラン内相と会談し、中東での和平プロセスを前進させる取り組みについて協議した。

米国とイスラエルが2月末に開始したイランとの紛争は、世界のエネルギー市場を揺るがしている。加えて、ロシアとウクライナの戦争もエネルギー価格の上昇圧力となっている。原油相場は今年に入り65%余り上昇している。

世界的な需給逼迫(ひっぱく)が続く中、ディーゼルは米国の小売価格がガロン当たり6.50ドルを超え、過去最高値を更新した。21日の市場ではディーゼル先物が約3%下げた。

動画:米国のトランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席は、24日に首脳会談を予定している

米中央軍によると、過去2週間にホルムズ海峡を通過した原油と液化天然ガス(LNG)の輸送量は、6カ月ぶりの高水準となっている。域内で軍と商船の連絡を担う英国海運貿易オペレーション(UKMTO)によると、17-19日には米国の支援を受けながら、1日当たり約32隻がホルムズ海峡を通過した。

A/Sグローバル・リスク・マネジメントのチーフアナリスト、アルネ・ローマン・ラスムセン氏は「焦点は、ホルムズ海峡を通じた原油とLNGの輸送改善や、ニューヨークでの国連総会に合わせて外交面で進展する可能性に移っている」と指摘。「原油にかかっていた最も強い上昇圧力は和らぎつつある可能性がある」と述べた。

原油価格は6月以来の連続安に向かっている

北海ブレント11月限は前営業日比3.53ドル(3.4%)下げて1バレル=100.34ドル。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)10月限は同4.52ドル(4.5%)安い95.78ドルで終了した。

金

ニューヨーク金相場は反落。原油先物が大きく下げたものの、米国で追加利上げが続くリスクが金市場では意識された。

今週は複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官による発言機会がある。先週の連邦公開市場委員会(FOMC)では全会一致で利上げが決定した。金利の上昇は一般的に、利息を生まない金投資の妙味を低下させる。

ロンドンの金市場でも売り圧力が強まった。トレーダーによると、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のオークションでは売却希望が買い需要の約4倍に達し、価格を押し下げた。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は20日、インフレ率は依然として高過ぎるとし、イランとの戦争に伴う原油価格の上昇を超えて、物価上昇圧力が広がっているとの認識を示した。

22日にはニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、ニューヨークで講演を予定している。

グローバルX・ETFsのアナリスト、ジャスティン・リン氏は「ウォーシュ議長の下でFRBが利上げを決定したことで、独立性を巡る議論はおおむね材料視されなくなり、金利の先行きに関するガイダンスもほぼ予想通りだった」と指摘した。その結果、金相場には「明確なテーマがなく、目先は新たな材料も比較的少ない」と分析。「こうした材料難の局面で、金は原油価格やインフレ見通しの動きに左右されやすくなるだろう」と述べた。

金スポット価格はニューヨーク時間午後1時50分現在、前営業日比35.59ドル(0.8%)安い1オンス=4343.04ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、同41ドル(0.9%)下げて4383.90ドルで引けた。

欧州

21日の欧州債市場では、ドイツ10年債利回りが4カ月ぶりの大幅低下に向かっている。ホルムズ海峡を通じた原油輸送が底堅く推移していることや、米国とイランの戦争終結に向けた外交努力に対する楽観もあり、原油とガスの価格は下落している。

北海ブレント原油先物は1バレル=100ドルを割り込んだ。同水準を下回るのは、今月9日以来。ドイツ10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して3.45%となった。

フランス債はアウトパフォームし、10年物のドイツ債との利回り差を3bp縮めて101bpとした。イタリアは新発12年物グリーンボンドの発行に向け銀行団に委託した。

短期金融市場で織り込まれている欧州中央銀行(ECB)の利上げ見通しは大きく後退し、10月末までに12.5bp、年内に35bp、来年末までに81bpとなった。

株式はストックス欧州600指数が2カ月余りで最大の上げ。原油・ガス価格の下落でインフレ懸念が後退したほか、今週の米中首脳会談を巡る楽観がリスク志向を押し上げた。

同指数は1%高で引け、7月2日以来の大幅上昇。銀行株の上昇が目立ち、フランスのソシエテ・ジェネラルは1.8%高。利益見通しを上方修正し、配当金を引き上げる計画も発表した。

一方、デンマークの製薬大手ノボノルディスクは7.7%安。今後数年間に5つを超える大型薬を発売し、新たに230億ドル(約3兆6100億円)超の売上高を生み出す方針を示したものの、より具体的な材料を求めていた投資家の失望売りに見舞われた。

9月21日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Stocks Get Tech Lift as Oil Falls on US-Iran Hopes: Markets Wrap(抜粋)

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