「On(オン)」ブランドのスニーカーを展開するスイスのオン・ホールディングは、サッカー用品の開発パートナー兼ブランドアンバサダーとして、フランスのスター選手キリアン・エムバペ氏を起用した。ナイキとアディダスの牙城に挑む。

オンは声明で、シューズ製造技術「LightSpray」の活用拡大を進めており、エムバペ氏に新たに設計したスパイクを提供すると発表した。27歳のストライカーであるエムバペ氏は、ワールドカップ(W杯)の歴代通算最多得点を誇り、強豪クラブのレアル・マドリードでも中心選手を務める。これまではナイキとパートナー契約していた。

非公開情報であることを理由に匿名で話した関係者によると、オンとの契約期間は10年間となる予定だ。

発表を受け、オン株は一時3.8%上昇した。ナイキは一時2%余り下落し、フランクフルト市場ではアディダスも売られた。

オンはまた、フランス代表やイングランド・プレミアリーグのアーセナルで活躍した元スター選手、ティエリ・アンリ氏をサッカー部門責任者に起用した。両氏との契約の金銭条件は公表していない。

ロジャー・フェデラー氏の支援を受ける同社は、2010年の創業以来、急速に成長してきた。ランニングシューズから事業を始め、その後はテニス、トレーニング、アウトドアスポーツへと展開している。スポーツとライフスタイル向けの双方で、アパレルの売上拡大にも力を入れる。オンは22日に投資家向け説明会を開き、今後数年間の財務目標を説明する見通しだ。

近年、ランニング市場では、オンやホカなどの新興勢力が革新的なシューズを投入し、シェアを伸ばしている。一方サッカー市場では、いわゆる新興ブランドが大手を脅かす動きはさほど見られなかったが、ニューバランスとスケッチャーズは一定の足掛かりを築いている。後者はイングランド代表のスター選手で、バイエルン・ミュンヘンに所属するハリー・ケイン氏とスポンサー契約を結んでいる。

オンは声明で、「競技が求めるものを軸に製品づくりを見つめ直し、サッカーを取り巻くカルチャーに新しい風を吹き込む」ことを目指すとした。

エムバペ氏はオンのスタッフと協力して、サッカーシューズやウェアの開発に取り組むほか、ピッチ外でもブランドを代表して活動するという。同氏はサッカー界屈指の才能を持つだけでなく、ディオールの広告キャンペーンに登場するなど、ファッションセンスでも人気を集めている。

エムバペ氏は声明で、「オンに惹かれたのは、これからのサッカーを作っていくような、まったく新しいものを一緒に生み出せるからだ」と述べた。

オンは、ロボットがフィラメントをスプレー噴射し、数分で靴のアッパー部分を成形する「LightSpray」技術が、サッカーでも強みになるとみている。同社は、「驚くほど軽く、足にぴったりとフィットし、まるで第二の皮膚のようになじむ」製品をつくることが目標だとしている。

原題:Mbappé Signs Up for On’s Push Into Football in Blow to Nike (2)(抜粋)

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