(ブルームバーグ):欧州がAI分野で米国に追いつこうとする中、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループなどウォール街の金融機関が、数十億ドル規模に上る欧州のAI関連債の発行を支えようと動いている。
欧州は域外技術への依存軽減を図っており、JPモルガンやゴールドマンはその資金調達で主導権を握ろうとしている。両行はいずれも専門チームを立ち上げ、データセンター運営会社や投資家に案件を売り込んでいる。
JPモルガンの欧州・中東・アフリカ(EMEA)レバレッジド・ファイナンス責任者、ノア・ロス氏は「欧州ではこれまで発行がそれほど多くなかったが、投資家の関心は非常に高い」と述べ、「FOMO(取り残されることへの恐れ)がかなり強い」と続けた。
ゴールドマン・サックスの推計によると、年末までに50億-100億ドル(約7800億-1兆5500億円)規模のデータセンター債が欧州市場で発行される可能性があり、2027年にはさらに大きな発行の波が見込まれている。
対照的に米国では、今年に入ってAI関連債の発行額がすでに3500億ドルを超えたことが、ブルームバーグがまとめたデータで示された。欧州ではデータセンターの建設が十分な速さで進んでいないことへの懸念が強い。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、米国の技術に依存すれば、欧州の貿易相手国に極めて大きな影響力を与えるリスクがあると警告している。
「欧州にAI分野をけん引する企業があるかどうかにかかわらず、安全保障とデータ主権のため、欧州にはデータセンターが必要になる」と、リンクレーターズのレバレッジド・ファイナンス担当パートナー、ジャコモ・レアリ氏は述べた。
米国との差を埋めるには巨額の資金が必要だ。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、クラウドインフラやデータセンターなどの重要技術に資金を投じるため、欧州は2035年までに約3兆ドルを必要とする可能性がある。
これまで欧州の比較的小規模なプロジェクトでは、銀行融資やプロジェクトファイナンス、証券化で資金を賄えた。しかし、次世代の大型プロジェクトにはより大規模な資金が必要になる。
ゴールドマンのレバレッジド・ファイナンス部門グローバル責任者、ミリアム・ウィーラー氏によると、欧州で100-200メガワット規模のデータセンターが新設されるたびに、「少なくとも10億ドル、20億ドル規模の債務案件」につながる可能性がある。同氏は、世界のAIインフラ整備に占める欧州の割合が現在の10%から最大25%に上昇する可能性があるとみている。
ただ、投資家がすべての案件に資金を出すわけではない。建設前のプロジェクトへの投資にはリスクがあり、大量の電力と水を消費するデータセンターには、環境・社会・企業統治(ESG)方針を掲げる貸し手から厳しい目が向けられている。
原題:AI Debt Boom Heads From Wall Street to Europe Despite Tech Angst
(抜粋)
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