(ブルームバーグ):トランプ米大統領がイランとの戦争に踏み切ったことで、開戦から5カ月間に米納税者が負担した直接経費は約380億ドル(約5兆8900億円)に上った。インフレ率は来年初めまでに約0.5ポイント押し上げられる見通しだ。米議会の新たな調査で分かった。
米議会予算局(CBO)は15日、下院予算委員会で民主党トップを務めるペンシルベニア州選出のボイル下院議員宛ての書簡で、「この金額には、使用した弾薬や戦闘で失われた装備の補充費用のほか、飛行時間の増加に伴う費用、その他の作戦費、燃料費の増加分が含まれる」と説明した。
CBOの試算は、ヘグセス国防長官が7月の議会証言で、当時までの戦費を375億ドルとした内容とほぼ一致する。紛争が1カ月長引くごとに、さらに少なくとも20~30億ドルがかかる。報告書は「戦闘が一段と激化すれば、月間費用はさらに膨らむ可能性がある」とした。
報告書は、戦争がインフレに与える影響について、米公的機関として初の試算も示した。CBOは、ホルムズ海峡を通る石油・ガス輸送の混乱を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する主要なインフレ指標が2027年初めに、今年2月時点の予測を0.5ポイント上回ると見込む。
食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数の上昇率も、当初予測を0.3ポイント上回る見通しだ。コアインフレへの影響は遅れて表れる一方、長引くとCBOはみている。
報告書によると、戦争で弾薬の備蓄も減り、補充には5年以上かかる可能性がある。このため、別の大規模な紛争が起きた場合に、米軍が対応できる能力も低下している。これは、国防総省の監察総監が14日に公表した調査結果と同様の指摘だ。調査は、軍需産業の生産基盤が弾薬の不足分を補いきれないと指摘した。
CBOは「大量の弾道ミサイルや巡航ミサイルを保有する相手と紛争になれば、備蓄不足は特に深刻な問題となる」と指摘し、中国と台湾の間で起こり得る紛争を具体例として挙げた。
トランプ氏はこうしたリスクを軽視し、米国には「事実上、無尽蔵の」弾薬があると主張している。
原題:War in Iran Has Cost US $38 Billion Over Five Months, CBO Says(抜粋)
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