米大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の共同議長を務めるデービッド・サックス氏は14日、AI開発競争で先頭を走るアンソロピックとOpenAIについて、政府の介入なしに安全な製品つくり、必要に応じて自社の開発ペースを調整すべきだと指摘した。

サックス氏はブルームバーグTVのインタビューで、「大手AI企業は自社のモデルについて製造物責任を負っており、安全でない技術を開発した場合、民事訴訟や刑事訴訟に直面する恐れがある」と13日に投稿したカーン前連邦取引委員会(FTC)委員長の見解に同意すると語った。

アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は12日の投稿で、AI開発のペースを落とすよう企業に求め、ペース減速の調整に必要な安全性の協議を行う場合、アンソロピックや競合他社に反トラスト法(独占禁止法)の適用除外を認めるよう政府に提案した。OpenAIのサム・アルトマンCEOとスペースXのイーロン・マスクCEOもアモデイ氏の案を支持したが、サックス氏はこれに反対した。

サックス氏のコメントは、トランプ大統領による14日の一連の投稿と緊密に呼応するものだ。トランプ氏は、暴走AIが人類に脅威を及ぼす不安について、中国を喜ばせる「デマ」と一蹴した。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は14日の公開討論会のステージで、トランプ大統領から直接電話を受け、AI開発ペースを減速させようとする動きは、政治的動機によるものか、中国の策略だとトランプ氏は批判を展開した。

訪米する中国の習近平国家主席とトランプ大統領との米中首脳会談は24日に開催が見込まれる。サックス氏は「彼らが何を考えているか見極めるべきだ」と述べ、開発のペースを落とせば、中国が米国に追いつく機会を与えるだけだと主張した。

中国外務省の郭嘉昆報道官は14日の記者会見で、「恐怖をあおる行為」は「グローバルなAIガバナンスのプロセスを妨げるだけであり、誰の利益にもならない」と強く反発していた。

米大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の共同議長を務めるデービッド・サックス氏が、ブルームバーグTVのインタビューに応じた

アンソロピックや競合他社に反トラスト法の適用除外を認めるよう求める提案に関し、「自社製品の安全を確保するのは基本的義務だ。見返りに独占禁止法の適用除外や免責を要求してはならない。率直に言って、彼らはわれわれと物々交換しようとしていると感じられる」とサックス氏は反論した。

サックス氏はAI業界をOpenAIとアンソロピックの「2社による市場独占状態」と表現し、両社は自分たちを規制するルールではなく、自社製品に力を注ぐべきだとけん制した。

同氏は業界全体の開発ペース減速には反対する一方、範囲を限定したAI規制は受け入れる姿勢を示した。監査機関が真に独立し、いかなるAI企業とも「親密な関係」にない限り、 米当局が一定の透明性・監査基準を設定することは「良いアイデア」だと認めた。共和、民主両党の多くの議員も、最近その方向に動き始めた。

サックス氏は、トランプ政権のAI・暗号資産(仮想通貨)責任者を務めていたが、退任後もトランプ氏と密接な関係を維持している。AI開発企業が政府と協力し、自社モデルを審査する道筋を盛り込んだ大統領令が今年検討されたが、 サックス氏がそれを阻止した経緯がある。

原題:AI Labs Should Make Safe Tech Without Antitrust Help, Sacks Says(抜粋)

(サックス氏がAI政策に関与した経緯を追加して更新します)

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