フランスの高級品業界の大物、ベルナール・アルノー氏(77)が世界の富豪トップ10から陥落し、ランキング上位はテクノロジー業界の億万長者を中心とする米国勢の顔ぶれが席巻した。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、アルノー氏の純資産は10日、1430億ドル(約22兆500億円)に減少。LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン創業者の同氏は、慈善家で米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイ会長のウォーレン・バフェット氏(96)を下回った。

Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

同ランキングの上位には、イーロン・マスク氏が9188億ドルの資産で他を大きく引き離して首位に立ち、ラリー・ペイジ氏やジェフ・ベゾス氏、セルゲイ・ブリン氏、マイケル・デル氏らテクノロジー企業の起業家が続く。トップ10の全てを米国人が占めるのは、同指数が2012年に創設されて以来初めてだ。

アルノー氏の資産は年初から650億ドル減少し、世界の富豪上位500人の中で最大の減少額となった。

中東での戦争が同氏の事業に大きな打撃を与え、ドバイなどのショッピング拠点では、ディオール、ルイ・ヴィトン、ティファニーといったファッションブランドから、ドン・ペリニヨンのシャンパンやヘネシーのコニャックなど高級酒まで、LVMHブランドへの需要が抑制されている。重要市場の中国でも障害に直面しており、現地の茶飲料メーカーとの商標権争いが売上高に響いている。

一方、米S&P500種株価指数は今年11%上昇しており、AI関連需要を背景にテクノロジー企業が相場上昇をけん引している。

アルノー氏は17年3月22日以降、世界の富豪トップ10入りを維持し、22年12月からは一時的に首位に立つ期間もあった。北米以外の出身者として、また消費財業界の大物として初めて世界一の富豪となり、その後はいずれのカテゴリーからも首位に立った人物はいない。

こうした快挙は、高級品業界を取り巻く環境が現在とは大きく異なる時代に達成された。当時は中国の消費者がなお販売をけん引し、LVMHなどの企業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の規制解除後、抑え込まれていた買い物需要の恩恵を受けていた。

同社株は23年4月に過去最高値を付けたが、その後は中国などでの商品需要の低迷、米国の関税措置に伴う不透明感、一部市場でのアルコール消費減少が重荷となっている。アルノー氏の資産額は現在、ウォルマート創業家2代目の相続人ジム・ウォルトン氏をわずかに上回る順位にある。

アルノー氏と2度の結婚でもうけた5人の子どもを巡っては、後継者問題が最大の焦点の一つとなっている。5人はいずれもLVMHで働いており、4月の株主総会では全員が初めて発言した。アルノー氏は、最高経営責任者(CEO)の後任が誰になるかとの質問への回答を控えた。

原題:Arnault Drops Out of World’s Top 10 Richest as US Tech Dominates(抜粋)

--取材協力:Angelina Rascouet、Jack Witzig.

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