(ブルームバーグ):欧州連合(EU)がグリーンランドに2億ユーロ(約358億円)を投資する。トランプ米大統領が同島を米国支配下に置くべきだと主張する中、EUも関係強化を進めている。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、グリーンランドの政庁所在地ヌークを2日間の日程で訪問し、投資計画を発表した。EU加盟国デンマークの自治領である同島への支持を示す狙いがある。資金は重要鉱物や再生可能エネルギー、衛星通信の開発に充てられる。
同委員長は、デンマークのフレデリクセン首相、グリーンランド自治政府のニールセン首相と共に記者会見し、「EUとの関係を強化するというグリーンランドの明確な選択を反映したものだ」と述べた。
「欧州側も選択をしたという強い意思の表れでもある」とし、「グリーンランドと北極圏で存在感を高め、関与を深めるという選択だ」と語った。
グリーンランドは近年、欧州にとって地政学的な重要性を増している。氷床の融解で航路が開かれつつあり、地域での影響力を巡る競争にも拍車がかかっている。トランプ氏は今年初め、同島を掌握する可能性を示し、大西洋を挟んだ米欧関係全体を揺るがした。その後は姿勢を後退させている。
同委員長は「北極圏は地政学的な力がぶつかり合う場所の一つになった」と指摘。「ここで起きる事態は、われわれに直接関わる」と述べた。
EUは今回の新規投資に加え、10月20日に新たな北極圏戦略を公表する準備を進めている。同戦略では北極圏について、従来の「極北」ではなくEUの「北部の近隣地域」と位置付け直す。北極圏を欧州の中心的な一部として捉え直す狙いを示すものだ。
同委員長のグリーンランド訪問は今回が2回目で、2024年にヌークでEU事務所を開設して以来では初めて。今回は、EUとグリーンランド、デンマークの結束を演出する場面も目立った。
フレデリクセン、ニールセン両氏と共に船でヌーク周辺のフィヨルドを巡り、歴史ある集落クールノックを訪問。デンマーク海軍の艦艇や衛星地上局も視察した。
ニールセン首相はEUの関心が高まっていることを「実感しており、心から感謝している」と歓迎。今回の経済支援策は実生活にも恩恵が及ぶと強調し、「今回の投資はわれわれの日々の暮らしに変化をもたらす」と述べた。
グリーンランド経済団体のクリスチャン・ケルドセン代表は記者団に、EUの投資規模はグリーンランドの年間国内総生産(GDP)の7-8%に相当し、地域経済に影響を与えるとの見方を示した。トランプ氏によるグリーンランド領有の主張について「受け入れ難い」とする一方、「幾つかの機会を生んでいるのも事実だ」と語った。
実際、グリーンランドを巡る外交上の駆け引きが活発になる中、関係強化を目指す欧州各国の関心も急速に高まっている。世界の重要原材料で中国が圧倒的な地位を占める中、グリーンランドの資源開発への関心も強まった。
デンマークは昨年、グリーンランド向けに2億5000万ドル(約386億円)規模のインフラ投資策を発表。欧州委は今回の投資のほか、グリーンランドへの財政支援を7年間で5億3000万ユーロ超と、現在の2倍以上に引き上げる案も提示している。
カナダとフランス、ノルウェーもヌークに領事館を開設しており、グリーンランドを巡る外交競争の激化を浮き彫りにしている。
原題:EU to Invest €200 Million in Greenland as Trump Circles (1)(抜粋)
--取材協力:Sanne Wass、Max Ramsay.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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