(ブルームバーグ):米エネルギー省のライト長官は、ベネズエラの原油生産を急速に拡大させる一連の契約について、企業による締結が間近だと明らかにした。
ライト氏は1日夜、ベネズエラの首都カラカス到着後に記者団に対し、「複数の契約が発表される。これらの契約により、ベネズエラの石油生産量は今後数年で2倍超に増える」と語った。
ライト氏は滞在中、ベネズエラのロドリゲス暫定大統領と会談する予定。2日にはエネルギー企業との十数件の合意を発表する見通しだ。最大規模となるのは米シェブロンとの契約。同社はオリノコ・ベルトにある二つの巨大油田を通じ、ベネズエラ事業を大幅に拡大する。
今回の訪問は、トランプ大統領の求めに民間企業が応えていることを示す狙いがある。米国の軍事作戦でマドゥロ大統領が拘束された後、トランプ氏はベネズエラの原油生産増強に協力するよう呼び掛けていた。対イラン戦争の影響で米国のガソリン価格は今年に入って40%超急騰。11月の中間選挙が迫る中、与党の共和党にはガソリン価格を引き下げるよう求める圧力がかかっている。
トランプ政権当局者は、米国などの石油会社にベネズエラでの事業を促すことで、中南米地域での中国やロシア企業の影響力を抑えられるとみている。ロドリゲス氏は今週、ベネズエラの国営テレビで、英シェルやBP、スペインのレプソル、イタリア炭化水素公社(ENI)も契約を締結する見通しだと述べた。
今回発表される契約は、トランプ氏が8月28日に発表した計画とは別のものになる。同日発表の計画は、物議を醸してきたエネルギー実業家アレハンドロ・ベタンコート氏が経営する企業と連携し、米国がベネズエラの石油埋蔵量のうち650億バレルをコントロールする内容。
同計画は、トランプ氏がかつて米国の「51番目の州」と呼んだ国の経済に対する、現代では類を見ない規模の介入となる。米当局者によると、埋蔵量で世界第2位の民間石油会社が誕生し、米国は今後数十年にわたって石油供給が確保できるだけでなく、減少している戦略石油備蓄(SPR)を補充できる。
ライト氏は「巨額の投資がこの国に流れ込み、非常に大きな時代がやって来る。米国と、ベネズエラで統治に当たる政府とのパートナーシップ以上に、良好なビジネス環境を保証するものがあるだろうか」と語った。
一方、アナリストらは、企業が今後数カ月でベネズエラの原油生産を急増させ、米ガソリン価格の下落につなげるのは困難との見方を示している。同国は世界有数の石油埋蔵量を抱えるものの、長年にわたる投資不足で油田は著しく劣化しており、ポンプの故障やパイプラインからの漏出、不安定な電力供給といった問題がある。
ベネズエラの原油生産は今年増加しているものの、ブルームバーグの調査によると、7月の生産量は日量116万バレルにとどまった。10年前の半分にも満たない。
業界専門家によると、ベネズエラの石油産業が数十年にわたる衰退以前の水準である日量約300万バレルまで生産を回復させるには、10年以上かかる可能性がある。
原題:Trump’s Energy Chief Says Venezuela Poised to Double Oil Output(抜粋)
--取材協力:Mie Dahl.
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