(ブルームバーグ):経済産業省は31日、2027年度予算の概算要求額を、一般会計と特別会計を合わせて約7兆7900億円とした。AIや半導体などへの成長投資を大幅に増やすほか、重要鉱物やエネルギーの供給網強化にも重点配分する。
経産省の資料によると、危機管理投資・成長投資の加速には約5兆7000億円を振り向ける。主な内訳は、AI・半導体・ロボットが約1兆9900億円、経済安全保障・防衛産業基盤強化が約1兆5500億円、資源エネルギー・GXが約1兆9800億円となる。
政府が新設した「強く豊かな日本」投資枠には約6兆3100億円を盛り込んだ。このうちAI・半導体産業基盤強化フレームの約5300億円とGX推進対策費の約1兆2600億円は、エネルギー対策特別会計にも再掲されており、経産省関連の総額では重複分を除いている。
要求総額は26年度当初予算の3兆693億円の約2.5倍。25年度補正予算の2兆2009億円を加えた5兆2702億円と比べても上回る。
今回の要求は、AIや半導体、重要鉱物などへの成長・危機管理投資を大幅に拡充するとともに、従来は補正予算で手当てしてきた恒常的な施策を当初予算に移す政府の方針を反映している。財政拡張への警戒も長期金利の上昇要因となっており、年末の予算編成でどこまで歳出を認めるかが焦点となる。
政府は補正予算への依存から脱却することで当初予算の規模が大きく変わるとして、25年度補正と26年度当初の合計との比較が妥当との考えを示している。
AI・半導体
AI・半導体・ロボット分野では、製造や物流、介護、災害対応、廃炉などの現場へのAI実装を進める。フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデルの開発に約9000億円、新設するAIロボティクス戦略事業に約3200億円、AIロボティクスの中核拠点整備に約1300億円を盛り込んだ。
最先端半導体の量産を目指すラピダスには、財政投融資を使った1500億円の追加出資を新規要求した。情報処理推進機構(IPA)を通じて資本を厚くし、別途要求した320億円の債務保証と合わせ、金融機関からの借り入れを促す。
研究開発支援では、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業に約3700億円を要求した。この大宗を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がラピダスに委託する研究開発に充てる。同社が量産開始を目指す27年度が、研究開発委託による支援の最終年度となる。
経済安保・エネルギー
経済安全保障では、レアアースなど重要鉱物の確保に約6800億円を要求した。民間企業による鉱山開発や精錬事業への出資、資源探査、供給途絶に備えた備蓄を進め、国内製造業や同志国に必要な資源を確保する。
ナフサなど化学品のサプライチェーン強靱化(きょうじんか)には、新規事業として約2200億円を要求した。基金での措置を想定しており、ホルムズ海峡を経由しない調達先の開拓や、ナフサ以外の原料を使うための設備投資、川中製品の在庫強化を支援する。
防衛・デュアルユースの生産・技術基盤強化には約1800億円と事項要求を盛り込んだ。防衛省と連携し、重要技術の国内生産基盤の強化、防衛イノベーション、装備移転を一体的に進める。
資源エネルギー・GXには約1兆9800億円を要求した。原油供給源の多角化や大規模送電網の整備、次世代革新炉の技術開発などを進める。
事業見直し
コンテンツ産業などには1700億円を要求した。海外展開への成長投資や海賊版対策を支援し、33年までに日本発コンテンツの海外売上高を20兆円へ拡大することを目指す。
一方、今回の財政投融資要求には、官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)向けを盛り込まなかった。同機構は累積損失が膨らんでおり、有識者会議で統廃合を含む組織のあり方を検討している。経産省は同機構を含む過去の政策について見直しを進めるとしている。
AI・半導体・ロボットの量産投資や経済安全保障、防衛・デュアルユース、エネルギーなどの一部は、具体的な金額を示さない「事項要求」とした。金額は年末の予算編成過程で詰める。
(第5段落と第7段落以降を追加して更新しました)
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