【記事の要旨】
・中東UAE・ドバイを襲った無人機攻撃で「安全神話」が揺らぐ事態に
・これまでは金融やAI産業でドバイは「脱石油」を実現
・イラン戦争を機に「地政学リスク」が大きな懸念に
揺らぐ中東の安息地。ドバイの「安全神話」と地政学リスクの行方
昨夜、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにある高層ビルにドローン(無人機)が衝突し、火災が発生しました。世界屈指の「安全な土地」とされてきた場所のすぐそばまで、紛争の足音が迫っています。

現在、中東地域ではアメリカやイスラエルとイラン周辺勢力との間での対立が激化し、数千人規模の死者が報告される事態となっています。イラン側の報復の矛先はアメリカの同盟国にも向けられており、これまで資金と人材を惹きつけるために「安全な安息地」としてのイメージを意図的に作り上げてきたドバイにとって、今回の攻撃は命や建物への被害にとどまらず、その「安全神話」を根本から揺るがすものとなっています。

脱石油を牽引する「富と人材の国際ハブ」
1971年のUAE建国時からの創設メンバーであるドバイは、現在、人口の約90%を海外からの移住者が占める巨大な国際都市へと変貌を遂げました。所得税や社会保険料がなく、美しいビーチや高級ホテルを享受できるこの街には、イギリスのプレミアリーグのオーナーやヘッジファンドの創設者など、世界中から莫大な富を持つ富裕層が続々と移住しています。外国人流入の加速により、ドバイの不動産価格はロンドンやニューヨークを凌ぐ勢いで急騰しました。

この背景には、UAEが掲げる「石油依存からの脱却」という国家戦略があります。ドバイは観光、金融、貿易といった産業の育成に注力し、現在のドバイ経済において石油収入はごくわずかです。2022年以降、ヘッジファンドの数は約3倍に増え、ウォール街の巨人も集結する世界の金融センターとなりました。
さらにAI(人工知能)分野にも数年で1000億ドルを投じる計画があり、アマゾンやマイクロソフトなどからの大規模な投資を受け、すでに200以上のデータセンターが稼働・建設中です。
