米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は、カンザスシティー連銀が主催する2026年ジャクソンホール経済政策シンポジウム(ジャクソンホール会合)で米東部時間28日午前10時(日本時間同日午後11時)に基調講演を行う。市場では、根強いインフレにFRBがどう対応すべきかについてウォーシュ氏自身の見解を明確にすることが期待されている。

ただ、実際にそうするかどうかは定かではない。

ウォーシュ氏のコミュニケーション姿勢は、出だしからつまずいている。7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後、ウォーシュ氏は景気に対する見方をほとんど示さず、金利の先行きに関するフォワードガイダンスの提示も避けた。こうした姿勢を受け、市場ではインフレを目標に回帰させる決意が乏しいとの見方が広がり、長期国債利回りは20年ぶりの高水準に上昇した。

ウォーシュ氏はFRB議長に就任して以来初めてジャクソンホール会合で基調講演を行う。根強いインフレと財政赤字への懸念から米国債利回りがなお高止まりする中、ウォーシュ氏には、前任のFRB議長らにならい、年内のFRBの対応についてより明確な指針を示すよう圧力がかかっている。

ただ、ウォーシュ氏が設置した五つの作業部会が現在、FRBの運営のあり方を検証しており、そのうち一つはコミュニケーションを対象としていることから、ウォーシュ氏は物価安定へのコミットメントを改めて表明するにとどめ、FRBがそれをどう実現するのかについては言及を避ける可能性がある。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の見方:

「ウォーシュ氏は選択を迫られている。7月のFOMC後の記者会見では十分にできなかったが、注目が集まるこの機会を利用して、FRBにはインフレを抑える方策があることを示し、市場の懸念を和らげるのか。それとも、フォワードガイダンスを縮小する方針をさらに推し進め、金融政策を左右する要因について何らシグナルを示さない姿勢を貫くのか。

われわれは後者になると予想する。ウォーシュ氏は、自身が進めるFRB改革の理論的枠組みを説明することに、より重点を置くだろう。フォワードガイダンスが政策運営の柔軟性を低下させ、市場のシグナルを不明瞭にしてきたことを示す証拠を挙げる可能性が高い」

—アナ・ウォン、イライザ・ウィンガー、トロイ・デューリー

最近のデータでは、インフレ率はなおFRBの2%目標を上回っているものの、鈍化し始めている可能性が示されている。26日にはFRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数が発表される予定だ。

エコノミストは、7月のPCE価格指数が前年比3.6%上昇したと予想している。予想通りなら4カ月ぶりの小幅な伸びとなるが、イラン戦争が長期化する中、原油価格は今月に入り再び上昇している。

同じ統計では、インフレ調整後の個人消費支出がほぼ横ばいになると予想されている。このほか、26日には4-6月期国内総生産(GDP)改定値、25日には7月新築住宅販売が発表される。28日には米労働統計局(BLS)が、3月までの1年間を対象とする雇用者数の年次ベンチマーク改定の速報値を発表する。

カナダの4-6月期GDPも発表される予定で、アナリストはカナダ経済が2023年初め以来のペースで成長したと予想している。過去の四半期の成長率が上方改定されれば、カナダは2四半期連続のマイナス成長となる「テクニカル・リセッション」とみなされなくなる可能性がある。

ただ、米国との貿易関係が緊迫化する中、GDP統計が大きく関心をそらすことはなさそうだ。米国とカナダの貿易協議が土壇場で決裂し、多くのカナダ製品に対する新たな50%関税が22日に発動した。カナダのカーニー首相は報復措置を講じると表明した。

このほか、ドイツの主要経済指標、日本、フランス、メキシコなどのインフレ率速報値、アイスランドが欧州連合(EU)加盟交渉を再開すべきかを決める投票が焦点となる。韓国とフィリピンの中央銀行が利上げする可能性がある一方、ハンガリーでは利下げする可能性がある。

原題:Warsh to Make First Jackson Hole Speech as Fed Chair: Eco Week(抜粋)

--取材協力:Anup Roy、Erik Hertzberg、Monique Vanek、Robert Jameson、Simon Lee、Giovanna Coi.

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