(ブルームバーグ):ベッセント米財務長官が長期国債の買い戻しを拡大する方針を示し、世界で債券相場が上昇している。ただ、アナリストらは、世界各地で財政問題や根強いインフレへの懸念が続いていることを理由に、この上昇は短命に終わる可能性があるとみている。
フランクリン・テンプルトン、バレンジョイ・マーケッツ、野村ホールディングスは、世界各国の政府が膨らむ債務と財政赤字への対応に苦慮しているとして、この措置による他国の債券市場への好影響は限定的になる可能性が高いと警告した。
数十年ぶりの高水準から低下が続く米30年・10年債利回りにけん引され、日本からオーストラリアまで、アジア太平洋地域の国債相場は20日、一斉に大きく上昇した。日本の30年債利回りは約9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、7月14日以来の下落幅となった。オーストラリアの30年債利回りも4bp低下し、2週間ぶりの大きな下落となった。
欧州債も19日に上昇したが、20日にはすでにその勢いが弱まりつつある。ドイツの30年国債利回りは同日、3.76%とほぼ横ばいで、米財務省の発表前に付けた2011年以来の高水準に近い。英30年債利回りは2bp上昇して5.80%となった。前日は5bp低下していた。
米財務省は19日、国債買い戻しの規模を少なくとも2倍にすると発表した。異例の市場介入で、借り入れコストの高止まりに対する米政府の懸念の強まりもうかがわせる。だが、アナリストらは、巨額の財政赤字、原油高によるインフレ、AI業界の借り入れ急増による債券供給全般への圧力に対する投資家の懸念が根強いため、ベッセント氏の計画は短期的な対症療法に終わる恐れがあるとみている。
シドニーのバレンジョイ・マーケッツで金利戦略責任者を務めるアンドルー・リリー氏は「世界的な長期債売りにいったん歯止めをかけるだろう」としたうえで、「これだけで利回り上昇を止めるには不十分だ」と述べた。
各国に財政圧力
フランクリン・テンプルトンは長期債のアンダーウエートを維持しており、ベッセント氏の措置が持続的な相場上昇につながる可能性は低いとみている。米30年債利回りは20日には再び上昇し始め、4bp高い5.23%となっている。
フランクリン・テンプルトンの債券部門ディレクター、アンドルー・カノビ氏は、主要先進国がいずれも財政圧力と根強いインフレに直面する中、「利回り上昇とイールドカーブのスティープ化を促す要因が足並みをそろっている。こうした要因が続く限り、長期債にそれほど強い買いが入るとは考えにくい」との見方を示した。
みずほインターナショナルのマルチアセット・ストラテジスト、エベリン・ゴメスリーチティ氏は、「米財務省による買い戻し発表後、英国の金利も米国債に連れてイールドカーブが急速にフラット化した。だが英国には同様の政策シグナルはなく、国内の財政リスクも消えていない」と指摘した。また、「昨日の長期債上昇は、持続的なブル・フラット化の始まりではなく、短期的なポジション解消によるものとみている」と述べた。
もっとも、足元の債券相場の反発は、財政状況がより健全な主要国の国債に対する一部投資家の需要の改善を示している可能性もある。
政府や中央銀行には市場に影響を及ぼす強力な手段があるものの、先進国が抱える長期的な財政リスクへの根強い懸念から、投資家は今後も当局がどこまで対応するのか、試す動きを続ける可能性が高い。
原題:Bessent’s Plan at Best ‘Circuit Breaker’ for Global Bond Slump(抜粋)
--取材協力:近藤雅岐、George Nixon.
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