(ブルームバーグ):米国の金利が経済に打撃を与えかねないほど上昇するのを阻止しようと、ベッセント財務長官は大胆な介入措置を打ち出した。だが、その対価を結局はドルが支払うことになると一部の投資家はみている。
今回の介入について、米政府が借り入れコスト抑制により積極的な役割を果たしていく転換点になったと捉える市場参加者もいる。長期金利を抑制する取り組みはこのところ続いており、米国の政策がドルへの信認を弱め、投資家を代替資産へと向かわせるとの懸念が再燃している。
シンガポールのマルチファミリーオフィス、リード・キャピタルのジェラルド・ガン最高投資責任者(CIO)は、「最大の犠牲になるのは間違いなくドルだ」と指摘。ベッセント氏は実質長期金利を意図的に押し下げ、景気を下支えするためにドル安を容認するシグナルを送るだろうとの見方を示した。
こうした背景から、ガン氏は「自分ならドルからさらに分散を進める」と述べた。
米財務省は19日、発行済み10-30年国債の買い戻し予定額を「少なくとも倍増」すると発表した。十数年ぶりの高水準に達していた米長期債利回りを抑え込む目的だが、同省は長年、「定期的かつ予測可能」な債務管理方針を掲げていた。ベッセント氏自身も昨年11月の講演でこれを支持していたが、方針の転換を示した格好だ。
フランクリン・テンプルトンの債券部門ディレクター、アンドリュー・カノビ氏(メルボルン在勤)は、ベッセント氏について「ターム物の金利をある程度抑えるためなら、ドルの強さを多少犠牲にする用意があると事実上言っている」との見解を示し、「どこかにはけ口が向かう」と語った。
金利上昇への対応として、米国の構造的な問題に取り組むという選択肢もあるとカノビ氏は指摘。ただ、それははるかに困難な道のりとなるため、利回りの管理かドル安の容認を当局者は選ばざるを得なくなっていると同氏は論じた。
魅力低下
米国債利回りを意図的に押し下げようとすれば、他国・地域の資産と比べドル建て債券の魅力は低下する恐れがある。その狙いは米国の借り入れ増加を容易にすることだと投資家が受け止めれば、ドルの価値を押し下げる効果も生じ得る。
ブルームバーグのドル指数は0.8%下落した19日に続いて20日も下げ、3カ月ぶりの安値を更新した。オプション市場の資金フローを見ると、トレーダーは発表直後、条件反射的に主要通貨に対するドル弱気のポジションを積み増し、特に対ユーロとポンドに強い需要が集まった。
ジェフリーズ・インターナショナルの欧州担当チーフエコノミスト兼ストラテジスト、モヒト・クマール氏は、「どのような形であれ、利回りをコントロールすればドル安要因になる」と指摘し、「コモディティーやアジア通貨」を利用してこの見方を反映したポジションを取るのが最適だと語った。
20日の外国為替市場では、ニュージーランド・ドルや欧州通貨がドルに対して大きく上昇している。
米国は数週間前、日本と協調して円買い・ドル売りの介入を行ったばかりだ。それに続く今回の措置で、米政策当局がパニックに陥っているとの印象が強まったと、シンガポールのアシメトリック・アドバイザーズでストラテジストを務めるアミール・アンバルザデ氏は述べた。
「ドルを大きく弱めようとしているとは思わない。利回りを安定させようとしているのだろう。しかし、その犠牲になるのはドルだ」と同氏は語った。
原題:Dollar Risks Becoming Biggest Loser From US Bond Buying (2)(抜粋)
--取材協力:Matthew Burgess、近藤雅岐.
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