(ブルームバーグ):中東和平の見通しに新たな暗雲が広がっている。トランプ米大統領は17日、期限切れを迎えるイランとの暫定合意を延長する考えはないと表明したほか、レバノンでは戦闘が再び激化している。
形式上この日期限を迎えるイランとの覚書を延長する意向があるかと記者団に問われ、トランプ氏は「ない」と答えた。6月に署名されたこの停戦合意は、米国とイランが60日以内により恒久的な和平合意に達するための時間を確保することを目的としていた。
トランプ氏はまた、イランの港湾に対する海上封鎖を挙げ、米国にはイランに対する交渉上の優位性があると強調。同海峡を米国領と宣言するという自身の構想を改めて示し、米国が完全な支配権を維持していると主張した。
これに先立ち、トランプ氏はFOXニュースとの電話インタビューで、米海軍によるイラン港湾の封鎖が同国に圧力をかけていると述べたうえで、紛争終結の期限は設けていないと語った。
同氏はまた、オマーンが「邪魔をすれば、徹底的に爆撃してやる」と警告したが、詳細には触れなかった。同様の警告は5月にも行っていた。オマーンはホルムズ海峡の管理方法をめぐってイランと交渉しているが、米国は協議に参加していない。
イランは、ホルムズ海峡の通航管理をめぐるオマーンとの包括的な合意の一環として航行マップを最終決定したとするが、海峡の再開につながるとは限らないともけん制している。
イラン外務省のバガエイ報道官は17日、集中的な協議は続いているものの、安全保障上の複雑な問題や「破壊的な勢力による妨害行為」のため、合意には時間がかかっていると記者団に述べた。トランプ氏はFOXニュースに対し、イランの革命防衛隊(IRGC)当局者との非公式な連絡ルートは引き続き開かれていると述べた。ただ、国営イラン通信(IRNA)によれば、IRGC報道官はこれを「妄想」だと否定した。
レバノンでの戦闘再燃は、行き詰まる米・イラン交渉の再開も一段と難しくする。両国が結んだ14項目の覚書には「レバノンを含む全ての戦線」での戦闘停止とホルムズ海峡の自由な通航が盛り込まれている。
米・イラン戦争は米国内で一段と反発が広がっており、11月の中間選挙でトランプ氏の共和党に打撃となる恐れがある。ベッセント米財務長官は先週、イランに対して「かつてない」新たな経済措置を発表する準備を進めていると述べた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はイランとアラブ諸国の当局者の話として、イランが戦闘の小康状態を利用して、より広範な対立の可能性に備えていると報じた。イランは主要な安全保障ポストに強硬派を起用し、ミサイルとドローンの生産を加速したという。
一方、ガザ停戦を巡っては、トランプ氏の娘婿で和平担当特使のジャレッド・クシュナー氏が今週、中東を訪問している。クシュナー氏は17日、ブレア元英首相、平和評議会のニコライ・ムラデノフ上級代表とともに、エルサレムでネタニヤフ首相と協議する。
AP通信が域内当局者とハマス当局者を引用して報じたところによると、クシュナー氏は16日、エジプトでハマス指導者のハイヤ氏と会談した。ハマスは、仲介国と米国主導の平和委員会に対し、今後の段階を定めたロードマップを承認するようイスラエルに「迫る」ことを求めた。
原題:US-Iran Peace Prospects Dim With Trump in No Hurry for Deal (1)
(抜粋)
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