北海道といえば、豊かな海の幸や農産物に恵まれた「食材の王国」ですが、いま、そこで獲れる食材にかつてない変化が起きています。

オホーツク海に面した北海道・斜里町。サケの漁獲量日本一を誇る、漁業の町です。

名産のサケが乗った海鮮丼は、観光客にも大人気。

「北海道の食のクオリティの高さを実感する」

しかし、いま「ある異変」が起きているといいます。

しれとこ里味 吉野英治さん
「徐々に獲れなくなってきている。(仕入れ額が)1.5倍から2倍ぐらいになっている」

北海道の海で、何が起きているのか。私たちは漁に同行させてもらいました。

漁船が狙うのは、サケと並ぶ斜里町の名物「カラフトマス」。例年は、月に400匹ほど獲れるといいますが…

記者
「いま網が揚がってきました。カラフトマスの姿はないですね」

北洋共同漁業部 伊藤正吉さん
「今年は1か月2匹。(漁獲量が)右肩下がりに一気にきちゃっている」

去年、日本の沖合にやってきたカラフトマスの数は過去最低に。今年はサケの数も記録的な不漁となった去年の、半分ほどになる見通しです。

原因の一つが、“海水温の上昇”。北海道に流れ込む冷たい海流「親潮」が弱くなり、餌となるプランクトンが減ったことなどにより、漁獲量が減少したと考えられています。

一方で…

記者
「いま引き揚げた網の中に、こんなに大きなブリがかかっていました」

海水温が上昇するにつれて、ブリなどの魚が北海道で獲れるように。ただ、獲れる数は不安定で、価格も低いことから、サケやマスの代わりにはならないといいます。

北洋共同漁業部 伊藤正吉さん
「サケ日本一の町だから。他に何かあればいいけど、これしかないから」

北海道の豊かな食材に大きな影響を及ぼしている温暖化。

一方、この変化をチャンスと捉え、新たな挑戦に取り組む動きもあります。

北海道北部・小平町で農業を営む加藤さん。3年前から新たに作り始めたという農作物を、収穫前に特別に見せてもらいました。

サツマイモです。本来、サツマイモの生産地は東北南部が大量生産の北限とされてきました。しかし、気温が上昇したことで生産できる場所も北上。北海道でも育てられるようになったといいます。

加藤耕太さん
「あんまり手入れが要らない、隙間の時間で作れる作物」

農家の高齢化が進むなか、サツマイモの栽培を農協も支援しています。

JAるもい 若林考宗さん
「天気に逆らってもしょうがない」
加藤耕太さん
「我々が合わせていくしかない」

JAるもい 若林考宗さん
「この辺でできた作物をみんなに食べてもらいたいし」

さらに、北の大地のサツマイモは新たな産業も生み出しています。

すりつぶされ、タンクの中で混ぜられる大量のサツマイモ。作られているのは…

清里焼酎醸造所 廣谷淳平さん
「さつまいも焼酎の『あまかおる』です」

北海道産の「サツマイモ焼酎」です。

醸造所のある清里町では、もともと地元の特産品を使った「ジャガイモ焼酎」を作っていましたが、気温の上昇でサツマイモの生産が増加。新たな町の特産品を目指して試験的に販売することに決めました。

清里焼酎醸造所 廣谷淳平さん
「まち、時代、気候、変わっていく中で、もの作りやまちの人たちも変わっていく必要がある」

暖かくなる北海道で続いている新たな挑戦。私たちの食卓の彩りを変える日も近いかもしれません。