(ブルームバーグ):10日の原油相場は続伸。イランとオマーンによるホルムズ海峡再開に向けた合意がなお成立していないことを背景に買いが継続的に入った。紅海沿岸近くのサウジアラビアの製油所への攻撃を受け、欧州のディーゼル価格が急騰したことも材料視された。
中東各地で続く攻撃も市場の警戒感を強めた。アブダビ国営石油会社(ADNOC)が運航するタンカー1隻が週末にホルムズ海峡で再び攻撃を受けたほか、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、サウジアラビアのジャザン製油所に攻撃したと主張した。サウジのエネルギー省は9日早朝、ジャザン製油所で発生した火災は消し止められたと発表したが、原因については明らかにしなかった。
ジャザン製油所への攻撃は、すでに逼迫(ひっぱく)していた世界のディーゼル市場に一段の緊張をもたらした。ホルムズ海峡を通る輸送の混乱が、ロシアの燃料輸出禁止措置の影響をさらに強めたためだ。
ホルムズ海峡を通過する船舶は依然として少ない。エナジー・アスペクツの創業者で市場分析部門ディレクターのアムリタ・セン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、現在の通航船舶は1日当たり約5隻と、米国とイランが6月に覚書(MOU)で合意した後の約14隻を大きく下回っていると指摘。「状況が本当に変わりつつあると判断するには、通航船舶の増加を確認する必要がある」と述べた。
イランがホルムズ海峡を巡る強硬姿勢を維持する可能性を示す動きとして、強硬派のモフセン・レザイ氏が最高国家安全保障会議(SNSC)の新たな事務局長に任命された。イスラム革命防衛隊(IRGC)の元司令官であるレザイ氏は、ホルムズ海峡に対するイランの完全な支配を主張してきた。
カロバー・キャピタルのハリス・クルシド最高投資責任者(CIO)は「市場が織り込んでいるのが正常化の確実性ではなく、供給混乱の『可能性』である限り、相場は強気基調が続くだろう」と予想。「実際に物流が正常化するのを確認するまでは、地政学リスクが原油価格の下支え要因になると考えている」と述べた。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物9月限は3日続伸し、前営業日比3.95ドル(5.1%)高の1バレル=82.13ドルで取引を終了。北海ブレント先物10月限は5%高の87.72ドルで引けた。
原題:Oil Surges as Iran’s Hormuz Deal With Oman Remains Elusive(抜粋)
--取材協力:Sarah Chen.
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