原油高は株式市場全体にはややネガティブ
8月6日の米国株式市場は、イラン情勢の再悪化によって軟調な推移となった。イラン議会が敵対的とみなされる諸国に関連する船舶のホルムズ海峡通航禁止法案を検討していると報じられ、原油価格が上昇した。
このところ上昇が目立っていたダウ平均を中心に株価は下落した。他方、ナスダック指数は小幅な下落にとどまった。また、SOX指数は小幅に上昇した。イラン情勢の悪化と原油高によって不透明感が高まる局面では景気敏感株や消費関連株が軟調に推移しやすい一方、インフレ懸念で債券も買いにくいという状況になる。
さらに、大きく信用収縮(レバレッジ解消、キャッシュ化)するほどでもないという条件も加わると、業績の安定性に期待がかかるAI・半導体関連株に投資資金が流入するという展開が続いている模様である。もっとも、AI・半導体関連株の高値警戒感も強く、安全資産としての地位は低下している。イラン情勢の悪化は株式市場全体を押し下げる方向に寄与するだろう。
もっとも、ベッセント米財務長官が長期金利の上昇を懸念しているように、中間選挙に向けて市場の混乱は避けたいところだろう。イラン側が強硬に出た場合でも、国側は粘り強く交渉していくと予想され、原油価格は80ドルを中心としたレンジ推移にとどまる公算である。イラン情勢の変化が株式市場の主要テーマになることはないだろうと、筆者はみている。
ウォーシュ氏のスタンスを探る債券市場
8月6日の米国債券市場では、原油価格が上昇したことに加えて、雇用関連指標が堅調だったこと、FTが9月利上げの可能性を示唆する記事を配信したことなどにより、金利が上昇した。
長期金利は前日差+6.5bp、2年金利は同+6.4bpだった。10年実質金利が同
+3.5bp、10年インフレ予想(BEI)が同+3.1bpとなった。このところ、イールドカーブや実質金利・BEIの変化に特徴がない(全体的に下がったり上がったりする)状態が続いているが、この日も同じような流れだった。
市場はウォーシュFRB議長のスタンスを読みにくいと感じている可能性が高い。すなわち、仮にウォーシュ氏がインフレに対して機動的に対応するのであれば、イールドカーブは短中期ゾーンを中心に上下動し、長期金利は実質金利を中心に上下動すると考えられる(BEIは安定化)。
他方、ウォーシュ氏にビハインドザカーブのリスクが高いということであれば、イールドカーブは長期ゾーン中心に上下動し、長期金利はBEIを中心に上下動すると考えられる。債券市場はウォーシュ氏のスタンスを見極める局面が続きそうである。