(ブルームバーグ):イーロン・マスク氏率いる米スペースXの株価は4日の時間外取引で下落した。6月の新規株式公開(IPO)後で初となる四半期決算は総じて市場予想を上回る内容となったものの、AI事業への支出が予想以上に膨らんだことが嫌気された。
衛星、宇宙、AI事業を展開するスペースXの株価は引け後の時間外取引で一時8.8%下落した。4-6月(第2四半期)決算では、設備投資額が約184億ドル(約2兆9000億円)に急増した。
マスク氏は決算説明会で、「AI開発のペースは大幅に加速すると見込んでいる」と述べた。4-6月期決算では売上高が市場予想を上回り、AI事業の赤字も市場予想ほど膨らまなかった。
今回の決算は、史上最大となる860億ドル規模のIPO以降、株価の激しい変動が続いた局面の節目となる。株価はIPO後の乱高下に加え、AI関連銘柄全般の売りを受けて下落し、時価総額はピーク時から1兆ドル超失われた。マスク氏も世界初となる「トリリオネア(資産1兆ドル以上の大富豪)」の地位を失った。

さらに先行きへの不透明感を強めているのが、1000億ドル超相当の株式が今週中に初めて売却可能となることだ。株価には一段の下押し圧力がかかる可能性がある。
発表によると、4-6月期の売上高は78億ドルだった。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の68億1000万ドルを上回った。1株損失は9セントで、市場予想の24セントより赤字幅は小幅だった。

約1兆6000億ドルに上るスペースXの時価総額は、複数の巨大企業に匹敵し、マスク氏率いるテスラを上回る規模となっている。そうした評価を支えてきたのは、各事業で大規模展開と未来志向の技術革新を実現しようとするマスク氏の構想だ。
宇宙空間でのデータセンター設置を含む数多くの成長構想は、多額の費用と大きなリスクを伴い、実現までに長い年月を要する可能性がある。それでもウォール街のアナリストの多くは、成熟した産業を変革してきたマスク氏の実績を踏まえ、強気の見方を維持している。
唯一の黒字事業である衛星インターネットサービス「スターリンク」の契約者数は、4-6月期末時点で1200万人となり、市場予想の1219万人を下回った。スターリンクは、地球の低軌道を周回する1万基超の衛星を通じて、個人や政府、企業向けにブロードバンド通信を提供している。
グウィン・ショットウェル最高執行責任者(COO)は決算説明会で、スペースXは地上のモバイル通信インフラを整備する方針だと説明した。スターリンクを活用して、スマートフォンとの直接通信サービスを展開するという広範な計画を裏付けるものだ。
マスク氏がスペースXのIPOを決断した背景には、地上のデータセンターで資源やエネルギー面の制約が強まるなか、宇宙空間でのデータセンター構築という新分野を切り開こうとする取り組みがあった。高コストで、なお実証段階にあるこの構想では、太陽光から絶えずエネルギーを得る衛星ネットワークを打ち上げ、軌道上でデータを処理し、それを地上へ送信することになる。
4-6月期のAI事業の営業赤字は12億6000万ドルだった。ただ市場予想の23億9000万ドルの赤字より赤字幅は小さかった。スペースXは、7-9月(第3四半期)と10-12月(第4四半期)の設備投資が4-6月期と同程度になるとの見通しも示した。
決算説明会で経営陣は、7-9月期に入ってこれまでに、67億ドルのクラウドサービス契約を獲得していると明らかにした。
スペースXは、既存の計算能力の提供を巡り、相次いで契約を結んでいる。6月にはアルファベット傘下のグーグルと、2029年半ばまで続くクラウドサービス契約の一環として、月額9億2000万ドルの支払いを受ける契約を結んだ。アンソロピックとも同様の契約を締結している。
原題:SpaceX’s AI Splurge Puts a Damper on Debut Earnings After IPO(抜粋)
(決算説明会での幹部発言などを追加し全体を書き換えて更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.