(ブルームバーグ):ドイツのスポーツ用品大手アディダスの株価は30日、フランクフルト市場で一時19%安となり、取引時間中としては過去最大の下落率を記録した。サッカー・ワールドカップ(W杯)向けの大規模なマーケティング投資が四半期利益を圧迫したことが嫌気された。
ビヨン・グルデン最高経営責任者(CEO)はW杯に大きく賭け、ライバルのナイキやプーマに先駆けて数カ月前からユニホームや関連商品を発売。俳優ティモシー・シャラメや、アルゼンチンのリオネル・メッシ選手、歌手バッド・バニーを起用した大々的なブランドキャンペーンを展開した。
こうした積極投資によりW杯関連商品の販売は好調だった。一方、マーケティング費は2億1200万ユーロ(約390億円)増え、営業利益は市場予想を大きく下回った。
アディダスの株主であるデカ・インベストメントのサステナビリティ・コーポレートガバナンス責任者、インゴ・シュパイヒ氏は、「W杯は恵みと同時に災いでもあった」と指摘。「増収とブランド力強化には大きなコストが伴い、そうしたコストは長期的にも増え続ける可能性が高い」と述べた。
アディダスはマーケティング施策の一環として、決勝戦の会場近くにある米ニュージャージー州の商業施設「アメリカン・ドリーム」に、米国市場向けのサッカー専門店も構えた。グルデンCEOは記者向け説明会で、こうした支出は今後、通常の水準に戻るとの見通しを表明。「株価の動きを見る限り、市場が何を誤解しているのか分からない。年初と比べれば当社の状況はかなり改善していると確信している」と話した。

ハーム・オールマイヤー最高財務責任者(CFO)によると、大規模なマーケティング攻勢は「商業面でW杯を制する」だけでなく、特に北米と南米で将来に向けたブランド認知度を高めることも目的としていた。
費用はかさんだものの、このマーケティング施策はW杯関連商品の販売を後押ししたようだ。
4年前の前回大会と比べて、ユニホームの販売量は4倍、ボールは2倍に増加。W杯関連売上高は約15億ユーロと市場予想を上回り、同社は2026年12月期の売上高見通しを小幅に引き上げた。為替変動の影響を除いた売上高については、「高い1桁台」の伸びとしていた従来予想から、9-10%増に引き上げた。
アディダスは営業利益が23億ユーロに拡大するとの見通しを改めて示した。また、契約を更新しないオールマイヤーCFOの後任として、年末にビルギット・クレッチマー氏を新たなCFOに起用すると発表した。
バンクハウス・メッツラーのフェリックス・デンル氏は、株価急落の一因にオールマイヤーCFOの退任を挙げ、「アナリストや投資家から高く評価されていた」と指摘した。
自身の退任が株価に与える影響について、会見で問われたオールマイヤーCFOは、クレッチマー氏への「円滑な引き継ぎ」があるとし、投資家にアディダス株の購入を勧めた。「私がいなくなった後の会社の将来を心配していない。素晴らしい後継体制が整っている」と述べた。

ナイキが本拠地の北米市場で苦戦する中、アディダスは同地域での成長拡大を目指している。一方、ナイキも、W杯関連商品の需要は22年大会を上回った。同社は最近公表した資料で、スポンサー契約を結ぶ各国代表チーム関連商品の売上高が前回大会の2倍超となったと明らかにした。
W杯効果はトランプ米大統領の関税措置による影響を和らげる一助にもなった。アディダスは、これまで支払った米国の関税について少額の還付をすでに受けている一方、今後見込まれる2億5000万ー3億ドル(約400億ー480億円)の還付は業績見通しに反映していないと説明した。
また、ユーロが複数の通貨に対して上昇したため、上期の業績には約4億ユーロのマイナス影響があったという。
原題:Adidas Plunges After World Cup Marketing Outlay Dents Profit (3)(抜粋)
--取材協力:Isolde MacDonogh、Laura Malsch、Levin Stamm.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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