三菱電機は31日、2027年3月期(通期)の純利益計画を従来の4750億円から4950億円に上方修正すると発表した。前期比21%増となる。AI・半導体関連を中心とするFAシステム事業の需要増に加え想定を上回る円安を反映し、売上高と利益の見通しを引き上げた。ブルームバーグが集計したアナリスト予想の5073億円は下回った。

26年4ー6月(第1四半期)の純利益は前年同期比21%増の1098億円だった。売上高は同14%増の約1兆5000億円となり第1四半期として過去最高を更新した。インダストリー・モビリティ部門、ライフ部門を中心に全てのセグメントで前年同期を上回った。

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業績をけん引したのはFAシステム事業だ。中国の工作機械需要が強いほか、AI関連需要を背景に、中国、台湾、韓国で加工機需要が拡大している。半導体メモリー向けの需要も強く、生産設備を制御するシーケンサー(制御装置)や、高精度でモーターを動かすサーボシステムなどFA機器全般で需要が日本、中国、韓国で高まっている。

同日の決算説明会で、藤本健一郎最高財務責任者(CFO)は「特に中国の増加が著しい」と説明。AIや半導体メモリーがけん引する需要について、「少なくとも今年度中は継続する」との見方を示した。

第2四半期以降の為替前提は、1ドル=150円など各通貨で従来想定を据え置いた。藤本氏は、中東情勢の変化や為替介入によって相場が大きく動く可能性があり、「ボラティリティーが非常に高く、予想しにくい状況」と説明した。その上で、足元の円安水準が第2四半期以降も続いた場合、売上高で約1000億円、調整後営業利益で約300億円の押し上げ要因になるとの試算を示した。

中東情勢による影響については、原油価格は前提としている1バレル=100ドルを下回る場面があるものの、前期比60億円の減益影響を見込む従来想定は変更していない。

パワー半導体再編・鴻海提携は協議継続

ローム、東芝と協議を進めるパワー半導体事業の統合については、「トップを含め、今後の方向性について十分な協議を進めている状況」と述べるにとどめた。具体的な期限は設定しておらず、「遅れているとの認識もない」と説明。開示できる事項が生じれば、速やかに公表するとした。

鴻海精密工業との自動車機器事業を巡る提携については、デューデリジェンスや拠点視察を進めている。藤本氏は「双方の方向性のすり合わせと、それに対する理解が今後事業を進める上で非常に重要なポイント」と述べ、時間をかけて協議を続ける考えを示した。一定の契約手続きは26年度中を想定する一方、提携のクロージングは27年度以降になる可能性があるという。

熊本地震の影響は限定的

熊本県で発生した地震について、藤本氏は「業績への影響は限定的」と述べた。熊本県内にある半導体デバイス事業の生産拠点では、最終工程に当たる試験工程の一部を再開している。安全性や設備状況の確認に時間を要するため、本格的な生産再開時期は今後見極める。

建物の損害は非常に軽微で、設備にも大きな損壊は確認されていないという。藤本氏は「一定の前提条件で見積もった上で、業績予想には織り込んでいる」と話した。

被害は10年前の熊本地震と比べて小さいとの見方も示した。前回の地震後、免震構造の採用など地震対策を進めてきたとし、「10年間対策を打ってきた結果、被害も前回より少ない」と説明した。前回の熊本地震ではパワー半導体事業で約80億円の被害が発生したが、今回はその数分の一程度になるとの見方を示した。

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