今年前半の日本株高をけん引してきたAI関連銘柄の失速が鮮明になり、投資家の物色がこれまで出遅れていた銘柄にシフトするとの見方が市場で強まっている。中でもその筆頭候補に挙がるのが、AIによる収益悪化への懸念などから上値が抑えられてきたゲーム関連株だ。

任天堂やソニーグループ、カプコン、バンダイナムコホールディングスなど、主に日本のゲーム関連銘柄で構成されるソラクティブ・ゲーム&アニメ指数は、今週これまでで14%上昇。週間の上昇率として過去最大を更新する勢いだ。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

東海東京インテリジェンス・ラボの山藤将太エクイティマーケットアナリストは「ローテーションで今まで売られたところを買い戻したり、保有していなかったセクターのウエートを上げたりする動きが鮮明に出ている」と指摘する。

生成AIを使えば誰でも簡単にゲームを作れるようになるという思惑などから、ゲーム関連株は今年、ソフトウエア関連株と共に大きな売り圧力にさらされてきた。ゲーム&アニメ指数は今年上半期に22%下落し、97%上昇したブルームバーグ・日本半導体株指数だけでなく、東証株価指数(TOPIX)の17%高に対しても大きく見劣りしていた。

しかし、半導体業界ではここにきて中国系企業の台頭による競争環境の激化懸念が急浮上。需要家である米ハイパースケーラー(大手クラウド事業者)やAI開発企業による巨額投資の持続性と収益性への警戒感も強まり、業況が強い中でも株式市場で資金の流れに変化が出ている。

ゲーム株は家庭用ゲームソフトのカプコンが28日に市場予想を大きく上回る好決算を発表したことも追い風になっている。同社株は決算翌日に20%近く上昇して9カ月ぶりの高値を付けた。東海東京ラボの山藤氏は「業績が好調であれば、ゲームやソフトウエア関連株は比較的素直に株価が反応しやすい」と話す。

東京海上アセットマネジメントの若山哲志シニアファンドマネジャーは、「メモリー価格が頭打ちになるのではないかとの見方から、ゲーム機器メーカーなどが買われている」と指摘する。ソニーや任天堂といったゲーム機メーカーはメモリー価格高騰による打撃を受けてきただけに、AI投資が減速しメモリー価格が下落すれば、メリットを享受できるとの見方が出ているという。

投資家にとってAI関連銘柄を保有するリスクは以前より格段に高まっていると話すのは、三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャー。「これだけボラティリティーが上昇してしまうと耐えられない投資家が多く、AI銘柄のウエートを下げるのが自然な流れになる」とし、それに伴いゲームやソフトウエア、自動車など出遅れ銘柄への資金シフトが進みやすいとみている。

AIが市場を先導する局面が終わったとの見方がコンセンサスになったわけではない。AI産業の長期的な成長ストーリーは変わらないとして、AI関連株は反発が近いとの声もある。

とはいえ、日本のゲーム関連企業には、長期的な成長性という点で強気の見方を示す投資家も少なくない。成長株投資で知られる英運用会社ベイリー・ギフォードのインベストメント・スペシャリスト・ディレクター、アリソン・ヘンリー氏は、「任天堂のマリオや、セガサミーホールディングスのソニック・ザ・ヘッジホッグなど、日本は不朽のゲームコンテンツを保有しており、まだ収益化の初期段階にある」と話す。

「ネットフリックスでもアニメが最も伸びているジャンルになるなど、世界的に見ても日本のゲーム企業の魅力が高まっている」と同氏は述べた。

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