(ブルームバーグ):株価が短期間で急落したキオクシアホールディングスについて、市場関係者の間で株主還元への期待が強まっている。会社が既に発表した配当に加え、足元の株安を受け将来的な自社株買い観測も浮上している。
大和証券キャピタル・マーケッツ韓国のキム・ソンギュシニアアナリストはキオクシアHDについて、顧客との長期契約や旺盛なデータセンター需要などから高い利益率を維持しながら安定的にフリーキャッシュフローを確保できると話し、設備投資後に残る資金を株主還元に充てる余地があると述べた。株主還元は「大きなカタリスト(材料)」と話し、バリュー(割安)株ファンドなど新たな投資家も呼び込めると話す。
半導体関連株はAI相場で集中したポジションの巻き戻しに加え、中国勢の競争力向上に対する懸念から世界的に調整している。キオクシアHD株は6月高値から65%近く下落しているものの、市場の注目がファンダメンタルズから株主還元に移れば、反発を試し、指数寄与度の大きさから日経平均株価の押し上げ要因になり得る。
キオクシアHD株を保有するアセットマネジメントOneの西田拓実ファンドマネジャーもキオクシアHDについて、株主還元は投資視点の1つになり得ると話した。ただ、大幅な株価下落を受けて信用買い勢や短期勢など売らなければいけない投資家がいて需給環境は重いとしており、「買い手不在の中、どれだけ決算で買いたい人を作り出せるかだ」と指摘した。
メッセージ
キオクシアHDは6月のIR説明会で、来期(2028年3月期)にも配当を開始する方針を発表した。余剰フリーキャッシュフローの状況を見てタイミングを決めるとし、今期下期に前倒しとなる可能性も明らかにしている。前期決算説明会では、株主還元については配当を優先するとしたうえで、「状況によっては自社株買いを含めて機動的に対応することを考えている」と説明した。
同社の広報担当者はブルームバーグに対して、自社株買いは検討はするものの、現時点で具体的に何か決まったことはないと述べた。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、高値から3分の1に株価水準が落ちた中、自社株買いは同社株が売られすぎとの会社側の「メッセージ」になると指摘した。また、株式分割を含めた株式還元を通じて投資家層が広がれば株価のボラティリティ低下につながるとも述べ、「業績面だけではない、還元姿勢の会社側のアナウンスは当然期待される」と話した。
さらに三井氏はキオクシアHDについて、ベインキャピタルの保有株売却により、「特定の株主の顔色を見る必要がなくなる」と話し、株主還元や経営に関してより機動的に動きやすくなると指摘する。新しい株主になってもらう人たちに向けて「本来の経営スタンスが出せる」と述べた。
--取材協力:清原真里.
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