韓国のサムスン電子が30日発表した4-6月(第2四半期)の半導体部門の利益は250倍超となった。世界的なAIインフラ整備が加速する中、メモリー不足は来年さらに深刻化するとの見通しを示した。

SKハイニックスや米マイクロン・テクノロジーと競合するサムスンは、2027年にメモリー需要と供給のギャップがさらに拡大すると見込んだ。大口顧客の多くは現在、高水準の価格で複数年契約の確保を求めており、米エヌビディアなど巨額投資を進める企業がデータセンターに不可欠な部品の確保を急いでいる実態が浮き彫りとなっている。

サムスン株は30日の取引で一時8.4%上昇したが、その後は上げ幅を大きく縮小している。

サムスン電子が30日発表した半導体部門の利益は250倍超に

サムスンによる今回の見通しは、SKハイニックスが前日に示した見方とも一致している。SKハイニックス幹部はAI開発やデータセンター建設の勢いに鈍化の兆しは見られないと繰り返し強調した。

一方、急速な投資拡大を受け、市場では供給過剰への懸念も高まっている。投資家の間では、巨額投資の採算性に疑問を抱く向きが増えているほか、中国勢の技術力向上にも警戒感が広がっている。

フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルの創業者、ユン・ジョンイン氏は「サムスンの持ち直しに加え、価格攻勢が一段と強まれば、SKハイニックスには逆風となる可能性がある一方、業界全体で進む大規模な設備投資により、将来的な供給過剰への懸念も消えない」と指摘。「この市場では、記録的な利益だけではもはや十分ではない」と述べた。

サムスンの半導体部門の営業利益は4-6月に89兆2000億ウォン(約10兆円)と、アナリスト予想平均の79兆3000億ウォンを上回った。グループ全体の純利益も71兆3000億ウォンとなり、市場予想よりも良かった。

経営幹部らは、AI向けデータサーバーで広帯域メモリー(HBM)やストレージの需要が拡大しており、生産の増強を進めているものの、深刻な供給制約が続いていると説明。また、ファウンドリー(半導体の受託生産)事業も勢いを増しているとし、モバイル・ネットワーク事業が同部門として初の赤字を計上したのとは対照的となっている。

ダニエル・アラウジョ副社長は、メモリー価格の上昇によりモバイルデバイス事業は極めて厳しい環境に置かれていると指摘。その上で、プレミアム市場への注力やAI対応スマートフォン需要の取り込みを通じ、通期で平均販売価格と販売数量の維持を目指す考えを示した。

イートロのアジア太平洋・中東地域担当リードアナリスト、ジョシュ・ギルバート氏は、グループ利益のほぼ全てを半導体事業が稼ぎ出したと分析。一方、コンシューマーエレクトロニクス部門は半導体ブームを支える部品価格の高騰に圧迫され、8000億ウォンの赤字に転じたと述べた。

半導体メーカーが最高益を記録しているにもかかわらず、ここ数週間は株価が下落傾向にある。テクノロジー企業の債務拡大が投資家心理の重しとなっているほか、韓国株で時価総額上位2社であるサムスンとSKハイニックスに絡むレバレッジ取引の積み上がりが、市場の値動きを一段と増幅させている。

SKハイニックスは29日、4-6月の営業利益が前年同期比557%増の60兆5000億ウォンと過去最高を更新したと発表したが、市場予想には届かなかった。

サムスンとSKハイニックス株の6月以降の下落は、AI業界を支える中核企業に対する期待が高過ぎることに加え、米メタ・プラットフォームズなどテクノロジー大手が、必要以上にデータセンターを建設しているのではないかとの懸念が強まっていることを反映している。

ソルトレークシティーに本拠を置くエトス・インベストメント・マネジメントのジェームズ・フレッチャー最高投資責任者(CIO)は、韓国市場は今月厳しい展開が続いたものの、企業のファンダメンタルズはこの20年で最も力強い状態にあるとの見方は変わらないと指摘。相場は変動を伴うことはあっても、長期的にはファンダメンタルズに沿って動くとの見方を示した。

複数年契約は半導体メーカーの間で一般的となりつつあり、価格決定力の高まりを示すとともに、市況悪化時の緩衝材としても機能している。SKハイニックスは約10社の顧客と長期契約を締結したと明らかにしている。

一方、サムスン電子は30年までブロードコム向けに半導体を供給する総額2000億ドル超の契約を発表している。

この契約では、ブロードコム製品向けにサムスンの2ナノメートルや先端プロセス技術を活用し、両社の協業をメモリーとファウンドリーの両分野へ広げる。サムスンはファウンドリー事業について、2桁の増収を目指しているとした。

原題:Samsung Chip Profit Soars 250-Fold During Relentless AI Buildout(抜粋)

(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)

--取材協力:Sangmi Cha.

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