(ブルームバーグ):世界的な半導体株売りがアジア時間28日の取引で加速している。中国の先端半導体製造技術の進展を示す新たな兆候に加え、AIブームの持続性を巡る懸念から投資家心理が一段と悪化しているためだ。
ブルームバーグが算出するアジア半導体株の指数は一時7.5%下落し、3月上旬以来の大幅安となった。中国の政府系企業が液浸型深紫外線(DUV)露光装置の製造を開始したとする報道を受け、競争激化への懸念が強まったほか、エヌビディアが発表した総額7500億ドル(約122兆8000億円)超の新たなAIインフラ関連案件により、AI関連の設備投資を巡る懸念も一段と強まった。
売りの中心となったのは韓国株だった。韓国総合株価指数(KOSPI)は一時10.7%急落。韓国取引所は20分間の売買停止措置を発動したが、取引再開後も下げが続いている。サムスン電子とSKハイニックスはいずれも約12%下落した。日経平均株価や台湾加権指数も4%超下落した。
今回の下落は、市場で最も人気が集中していた投資テーマの一つに対する投資家心理が急速に悪化したことを浮き彫りにしている。高水準のバリュエーションと前例のない規模のAI投資が持続可能なのかに対する疑問が強まる中、中国勢が予想以上のスピードで技術力を高めているとの見方も広がっている。
ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のマネジングディレクター、ヴェイサーン・リン氏は「AI関連の半導体株では強欲が恐怖に変わった。投資家は今やあらゆるニュースを否定的に受け止め、その本質的なファンダメンタルズへの影響を冷静に分析するのではなく、売る口実として利用している」と述べた。

今週は中国との競争激化への懸念も、半導体メーカーの重荷となっている。中国の半導体メモリー大手、長鑫存儲技術(CXMT)を傘下に置く長鑫科技集団(CXMT Corp.)が27日、上海証券取引所に上場した。調達資金は生産能力の拡大計画に充当される予定だ。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、中国が先端半導体の生産能力を急速に拡大していることは、日本の製造装置メーカーにとって逆風になるとの見方を示した。
28日の取引では、ニコンや東京エレクトロンなどの株価がいずれも9%以上下落した。一方、中国本土市場に上場する中微半導体設備や瀋陽芯源微電子設備は上昇した。
今回の広範な株安は、世界の主要テクノロジー企業の重要な決算発表週の幕開けに当たり、投資家の慎重姿勢を浮き彫りにしている。メタ・プラットフォームズやアマゾン・ドット・コムなどの設備投資計画が、今後の株価の方向性を左右する見通しだ。
バンテージ・グローバル・プライムのシニア市場アナリスト、ヘベ・チェン氏は、「今回の半導体メーカー株の下落は、設備投資や投資収益率、バリュエーションを巡る疑念が薄れるどころか、なお一段と深まっていることを示している。複数の重要な材料が控える中、押し目買いに慎重な姿勢が続いていることは、投資家が再び積極的な投資姿勢に戻る前に、より強い裏付けを待っていることを示唆している」と述べた。
メモリー・ストレージ関連銘柄は今年、半導体価格の急騰による過去最高益を背景に、AI相場をけん引してきた。しかし、中長期的な見通しへの懸念が高まる中、それまでの大幅な上昇は急速に縮小している。
キオクシアホールディングスは28日に一時18%下落し、先月一時的に日本最大の時価総額企業となる原動力となった上昇分をさらに吐き出した。SKハイニックスは6月に株価が過去最高値を付けて以降、時価総額が約5700億ドル減少した。
今週発表されるサムスン電子とSKハイニックスの決算は、大きく変動した両社株について投資家にさらなる手掛かりを与える可能性がある。ただ、足元では過去最高水準の利益でさえ、市場を満足させるには十分ではないようだ。
ペッパーストーン・グループのリサーチストラテジスト、ディリン・ウー氏は「市場の期待値は現在、極めて高い。市場予想を上回っても、もはや株価が上昇する保証はない。それはここ数週間、繰り返し確認されてきた。したがって、今日見られた動きの一部は、決算を待つのではなく、その前にポジションを縮小するトレーダーによるものだろう」との見方を示した。
原題:Chip Rout Deepens on China Competition, Circular Funding Fears(抜粋)
(第2段落以降にブルームバーグが算出するアジア半導体株の指数に関する情報などを追加して更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.