(ブルームバーグ):米司法省はトランプ大統領にカタールが供与した新たな大統領専用機「エアフォースワン」を巡る安全保障上の懸念を報じた米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の記者への召喚状を取り下げた。連邦地裁判事が強い懸念を示したことを受けた対応。
ニューヨーク州南部地区連邦地裁のスブラマニアン判事は23日の審理で、この件には「憲法修正第1条を巡る重大な問題」があると指摘。政府が記者に対し連邦大陪審での証言を要求する前にどのような措置を講じたかについて、政府側弁護士に懐疑的な態度で質問した。報道機関に召喚状を出す前に、捜査当局は他の情報源を使い切るべきだったと述べた。
スブラマニアン判事は、マンハッタン地区連邦地検で本件を担当するショーン・バックリー氏に対し、「召喚状は最初に取る手段ではない」と述べ、「最後の手段だ」と指摘。召喚状の効力の差し止めではなく2週間停止を求めたバックリー氏の要請を退けた。
バックリー氏は、召喚状を「一方的に」取り下げると述べた一方で、追加の捜査を進めた後に再び発付する権利は留保するとした。
連邦地検が10日に出した召喚状は、匿名の情報源に基づくNYT紙の記事に関するもの。記事では、トランプ大統領が今月、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席のためトルコを訪問した際に使用した新しい大統領専用機について、安全保障上の懸念を報じていた。航空機の性能について説明を受けた匿名関係者の話として、従来の大統領専用機に備わっていた防御能力の一部を欠いていると伝えていた。
スブラマニアン判事は審理後に出した命令書で、記者と第三者の電話サービス事業者に対する召喚状はいずれも「無効」になったとした。検察が再び発付を望む場合は、まず裁判所の判断を仰ぐ必要があると付け加えた。
NYT紙の上級副社長兼法務副責任者、デービッド・マクロー氏は声明で、「政府がようやく召喚状は法律違反だったと認めたことを歓迎するが、そもそも発付されるべきではなかった」と指摘。「NYT紙と記者は今後も恐れも偏りもなく真実を追求し、報道を続ける。このような手法にひるむことはない」と語った。
カタールから供与された航空機は、昨年、米政府に引き渡された際に倫理面や安全保障面で懸念が指摘されていた。同機はボーイングが2028年までに新たな大統領専用機を完成させるまで、エアフォースワンとして使用される予定で、トランプ氏の退任後は大統領図書館に寄贈される予定。
原題:DOJ Drops NYT Reporter Subpoenas Over Air Force One Stories (3)(抜粋)
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