(ブルームバーグ):宇宙開発大手スペースXは、巨大ロケット「スターシップ」の次回飛行試験を24日に延期した。先週も打ち上げを中止しており、同社の新規株式公開(IPO)後初となる重要な飛行試験に、一段と注目が集まっている。
当初はテキサス州南部にある施設「スターベース」から現地時間23日午後5時45分(日本時間24日午前7時45分)に打ち上げる予定だったが、悪天候を理由に1日延期した。
今回の試験では、改良型の「スターリンク」衛星を宇宙へ運ぶ。衛星はその後、大気圏に再突入して燃え尽きる予定だ。
スターシップは、宇宙データセンターの構築やスターリンク通信網の拡大、人類の月・火星への輸送を目指すイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の構想で中核を担う。しかし、開発過程では爆発や不具合、延期が相次ぎ、安定を欠いている。
スターシップにとって今回は13回目の飛行試験となる。スペースXが6月に実施した大型IPOで過去最大の860億ドル(約14兆円)を調達して以来、初めてだ。
同社は先週16日、離陸直前に飛行試験を中止した。発射塔周辺で大量の煙が発生したものの、ロケットはその場にとどまった。マスク氏はその後、Xへの投稿で、スターシップの一部エンジンが点火せず、自動中止システムが作動したと説明。別の投稿では、次の打ち上げまでに機体のエンジン二基を取り外して交換すると述べた。
ロケット打ち上げの中止自体は比較的よくあるが、スペースX株は16日の米市場時間外取引で約3%下落した。17日も値下がりが続き、時価総額は上場3日目に付けたピークから1兆ドル減少した。
タイグレス・ファイナンシャル・パートナーズのイヴァン・ファインセス最高投資責任者(CIO)は、中止について「スターシップを高頻度で再利用可能な運用に移行する上で、実行面のリスクがなお残ることが浮き彫りになった。延期が繰り返されれば、売上高と利益率の改善時期が後ずれする可能性もある」と指摘した。
今回の株価下落は、頻繁に試験し、失敗を重ねながら学ぶというスペースXのロケット開発戦略に織り込まれたリスクに、一部投資家が敏感であることを示している。
同社は主力ロケット「ファルコン9」の開発でも同様の手法を取った。ファルコン9も初期には不具合に見舞われたが、現在では世界で最も多く打ち上げられているロケットとなった。
宇宙コンサルティング会社クイルティー・スペースの調査責任者、ケイレブ・ヘンリー氏は、株価の変動について「宇宙産業を本当の意味で理解していない投資家が、なお一定数いることを示している」と語った。
スペースXは、他のロケットメーカーがまだ実現していない完全再利用型としてスターシップを設計した。大型ブースター「スーパー・ヘビー」と宇宙船スターシップの双方が、打ち上げ後に損傷なく地球へ帰還し、再び宇宙へ飛行する構想だ。同社はスターシップの開発に150億ドル余りを投じてきた。
同社は、スターシップで早ければ2028年に宇宙飛行士を月面に着陸させる計画に向け、米航空宇宙局(NASA)と総額約40億ドル相当の契約も結んでいる。
実現には、宇宙空間で機体に燃料を補給し、12回以上連続して打ち上げるほか、安全に人を乗せられると証明する必要がある。軌道飛行を一度も完遂していない機体にとって、ハードルは高い。
次回試験の飛行計画は、これまでとほぼ同様となる。
打ち上げ時には、スーパー・ヘビーのラプターエンジン(メタンと液体酸素を使用するエンジン)33基に点火し、スターシップを宇宙へ送り出す。スターシップは軌道速度に近い水準まで加速する。スーパー・ヘビーはスターシップから分離した後、メキシコ湾への着水を試みる。
スターシップは宇宙空間で、エンジン1基の再点火やスターリンク衛星20基の放出など、複数の試験を行う。衛星は太陽電池パネルを展開し、レーザー通信を使ってスターリンク通信網への接続を試みる。放出から約20分後、衛星は大気圏に再突入して燃え尽きる予定だ。
スターシップは打ち上げから約1時間後、インド洋に着水する計画だ。
原題:SpaceX Delays Major Flight Test Again in Post-IPO Spotlight (1)(抜粋)
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