シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは、AIの進歩により、世界の送電網に大きな負荷をかけているAI業界の電力需要が劇的に変化する可能性があるとの見方を示した。

テマセク・グローバル・インベストメンツの新興技術部門責任者、ラッセル・タム氏は、より効率的なAIの設計に加え、新材料開発の技術革新や半導体製造技術の進歩によって、業界全体の環境負荷を大幅に低減できる可能性があると述べた。

タム氏は21日、シンガポールで開催されたブルームバーグ・サステナブル・ビジネス・サミットで、「AIトークンの生成に必要な電力需要の構造は、大きく変わる可能性がある」とし、現行のAIは「驚くべき性能を持ち、進歩のスピードも非常に速いが、根本的には非効率なAI設計だ」と指摘した。

テマセクは今年、AIの電力需要拡大などを背景に、2030年までに投資先に起因する二酸化炭素(CO2)排出量を2010年比で半減する目標について、達成は困難との見通しを示していた。一方、ディルハン・ピレイ最高経営責任者(CEO)は、2050年までに排出量を実質ゼロにする目標は引き続き維持すると述べた。

送電網の制約や電力価格の急騰を受け、データセンター事業者は施設への電力供給方法について新たな手法を模索している。ブルームバーグNEF(BNEF)によると、現在のペースが続けば、米国のデータセンターは2035年に国内電力消費の約20%を占め、現在の5.9%から大幅に上昇する見通しだ。

テマセクなどが出資している英カスプAIなどの企業は、半導体生産の改善を目指しており、一部の希少金属の使用を削減、あるいは不要にする可能性がある。

タム氏は、「われわれは、エネルギー効率を飛躍的に高める極めて革新的な材料や半導体設計に投資している」とし、「まだ実証段階ではあるが、電力の効率を飛躍的に向上させる新たなAIモデルの設計にも投資している」と語った。

原題:AI Advances Can Slash Sector’s Energy Needs, Temasek Says (2)(抜粋)

--取材協力:Rebecca Choong Wilkins.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.