米OpenAIのグレッグ・ブロックマン社長は、中国のAIスタートアップ、ムーンショットAI(月之暗面)が競争力のある新たなAIモデルを開発したことを認めた。一方で、同社が対話型AI「ChatGPT」を手掛けるOpenAIの技術を利用したかどうかは分からないとの認識を示した。

ブロックマン氏は21日のインタビューで、数日前に公開されたムーンショットの高性能モデル「Kimi K3」に言及し、「非常に優れたモデルだ。それは間違いない」と述べた。

OpenAI共同創業者でもあるブロックマン氏は、ムーンショットが「蒸留」と呼ばれる手法を用いて、OpenAIのモデルを基に自社モデルの訓練に利用したかどうかについて、「判断するには時期尚早だ」と説明。その上で、「これは常に監視している事項だ」と語った。

ホワイトハウス当局者は22日、ムーンショットが米国のAIモデルを不適切に利用して自社モデルを構築したと非難した。OpenAIの競合である米アンソロピックも以前、同社モデルをムーンショットが蒸留したと主張している。ムーンショットはこれらの疑惑に対しコメントしていない。

ムーンショットは先週、一段と高性能なオープンウエート型モデル「Kimi K3」を公開した。同社によると、総合性能ではアンソロピックの「フェイブル(Fable)5」とOpenAIの「GPT-5.6」を除く全ての競合モデルを上回るという。この発表は市場の動揺を招き、世界のAI開発競争で米国の対中優位を巡る従来の見方を覆した。

ブロックマン氏は、中国はAIモデル開発で米国に対し最短で4カ月程度の遅れにまで迫っているとの推計を目にしたと述べた。他のAI専門家の間では、その差はさらに小さいとの見方もある。

低価格な中国製AIモデルの普及と性能差の縮小は、OpenAIやアンソロピックの事業モデルに新たな不確実性をもたらしている。両社は新規株式公開(IPO)を控え、顧客からの収益拡大を進めている。

ブロックマン氏は、OpenAIが早期から計算資源への投資を進め、長年にわたりAI研究を積み重ねてきたことで、競合に対して「大きな優位性」を維持していると強調した。「私たちは長年にわたり、目標を達成できる効率的なモデルをどう構築するかについて、多くの研究を重ねてきた」と話した。

また、Kimiのようなオープンウエート型モデルは無料だというのは「誤解」だとも指摘。「こうした大きなモデルも膨大な計算資源の上で動作しており、その計算コストは高い」とし、「競争の本質は『最も効率的で高性能なモデルを構築し、タスク当たりで最も優れたコスト性能を実現できるか』にある」と論じた。

中国製AIモデルの性能向上を受け、トランプ政権がそれらへのアクセスを禁止する可能性があるとの観測も浮上している。OpenAIは声明で、オープンモデルは「AIへのアクセスの民主化」で重要だとした上で、「中国のオープンウエート型モデルの進歩は、開放性に反対する理由にはならない」との見解を示している。

過去にトランプ大統領の特別政治活動委員会(スーパーPAC)に献金したことがあるブロックマン氏は、この議論へのコメントを避けた。ただ、米国がAI分野で「主導権を維持」することが重要だと強調し、それは実現できるとの楽観的な見方を示した。

ブロックマン氏は「主要な研究機関は今後も極めて特別なモデルを生み出すだろう」と語った。

原題:OpenAI President Says Kimi K3 ‘Pretty Good,’ Unsure If Distilled(抜粋)

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