(ブルームバーグ):中国企業が米国の最先端AIモデルの出力結果を不正に利用していると、アンソロピックを含む米企業が主張していることについて、中国の当局者はそうした行為を否定した。
中国外務省の劉彬次官補は18日、上海で開催されている世界人工知能大会(WAIC)で、「一部の国が蒸留問題を騒ぎ立てている」と述べ、「これは見当違いであり、非生産的だ」と語った。
「蒸留」とは、高度な既存の「教師」モデルを使って新しい「生徒」モデルを訓練することで元のシステムの能力を再現する手法。、一からモデルを開発するよりも大幅に低いコストで済むことが多い。
習近平国家主席は17日、開かれたテクノロジー秩序の構築を呼びかけ、「AIの発展は1つの国による独演ではなく、国際協力による交響曲であるべきだ」とWAICの基調演説で述べた。
蒸留問題が再び注目を集めたのは、中国のAIスタートアップ、ムーンショット(月之暗面)が新たなAIモデル「Kimi K3」を今週公開したことがきっかけだ。同モデルは業界標準のベンチマークで米OpenAIやアンソロピックの最上位モデルに匹敵する性能を示し、2025年初めに中国のDeepSeekが世界の表舞台に登場した時と同様、世界の株式市場を動揺させた。
アンソロピックは、ムーンショットのほか、DeepSeekやミニマックス・グループ、アリババグループなどの中国企業が、蒸留の手法を用いてアンソロピックのモデルを無断利用したと主張している。OpenAIもDeepSeekに対して同様の主張を行っている。中国企業側はこれまでのところ、こうした疑惑に回答していない。
問題は深刻化しており、普段は競合関係にあるOpenAI、アンソロピック、米アルファベット傘下のグーグルは、最先端モデルからの蒸留を行っているとされる中国勢への対抗策で協力を始めた。
米政府も自国の最上位モデルの能力の高さを警戒している。先月には一時的にAI企業に輸出規制を加え、これを受けてアンソロピックは「フェイブル(Fable)5」と「ミュトス(Mythos)5」の両モデルへのアクセスを一時的に制限した。
トランプ政権は現在、AIモデルの安全性を審査する独立した規制機関の創設を検討している。
原題:China Dismisses Claim that It Illicitly Extracts Foreign AI Tech(抜粋)
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