17日の米株式市場では、半導体銘柄を中心に売られた。中国のスタートアップが、米AI企業の最先端モデルに匹敵する性能を持つと主張するAIモデルを公開したことが警戒感を招いた。

ハイテク株の比率が高いナスダック100指数は1.5%安で17日の取引を終え、週間では約1カ月ぶりの大幅安となった。メタ・プラットフォームズを中心に「マグニフィセント7」銘柄が売られた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.6%下落。6月に付けた最高値からの下落率は20%に達し、弱気相場入りした。

ネーションワイドのチーフ市場ストラテジスト、マーク・ハケット氏は「決算シーズンに入る中で、小幅な売りと急速な戻りが繰り返される相場は、強気派が依然として主導権を握っていることを示している。ただ、株価を最高値へ押し上げる前に、決算による安心材料を待っている状況だ」と述べた。

S&P500種株価指数は1%下落し、50日移動平均線を下回って引けた。週間ベースでは3週ぶりの下げとなった。もっとも、ジョーンズトレーディングのデーブ・ラッツ氏は「6月にはこの水準から大きく反発する場面が何度かあった」と指摘した。

中国のスタートアップ、ムーンショット(月之暗面)が、AIモデル「Kimi K3」について、OpenAIやアンソロピックの最強モデルに匹敵し得ると表明したことを受け、半導体株が引き続き売られた。投資家は昨年の「DeepSeek(ディープシーク)モーメント」との類似性を意識した。中国のスタートアップ、DeepSeekの低コストのAIモデルは、AI開発における米国の優位性に対する疑念を生んだ。

ただ、半導体株はこの日の安値から下げ幅を縮小した。バイタル・ナレッジのアダム・クリサフリ氏は、市場の見方は「ここ数時間でわずかに変化」し、「より慎重な視点」で捉えられるようになったと指摘。「Kimiはかなり大規模なモデルで、理論上は稼働に大量の計算資源を要する。ただ、OpenAIとアンソロピックにとって、市場シェアの面で逆風となるのは確かだ」と述べた。

AIとそれに伴う設備投資を巡る懸念は、16日の台湾積体電路製造(TSMC)決算発表の翌日に再燃した。投資家は今年に入りAIに対し、より厳しい目を向けるようになっており、投資が十分な収益を生んでいないと判断された関連銘柄からの資金シフトを進めている。

16日には半導体株がS&P500種の重しとなったものの、構成銘柄の過半数は上昇し、市場の裾野の広がりを示した。S&P500イコールウエート指数は同日、過去最高値で引けている。

ここ数年の世界的なAI相場を巡り、割高なバリュエーション(株価評価)や設備投資の持続可能性に対する投資家の懸念が再び強まっている。韓国ではレバレッジを効かせた取引の過熱が記録的なボラティリティーを招き、中国ではメモリー半導体の新規生産能力の急増が価格を圧迫しかねないとの懸念もあり、不安に拍車をかけている。

ハーグリーブス・ランズダウンのシニア株式アナリスト、マット・ブリッツマン氏は、半導体株の急落について、AI投資ストーリーの「突然の崩壊」というより「混み合った取引の巻き戻し」に近いと指摘。リスクを軽視してはいないものの、中期的な需要に大きな変化はないとみる。

同氏は「最近の高値圏への持続的な回復には、AI投資の主要企業から投資計画が維持されるとの安心材料が必要だ。それが得られれば、様子見の買い手が素早く戻る可能性がある」とし、「現時点では、メモリー材料の取引の終わりというより、AI市場で最も過熱した分野の健全な調整に見える」と述べた。

個別銘柄では、動画配信サービスのNetflixが17日に7.3%安となった。売上高の伸びが2四半期連続で鈍化するとの見通しを示し、同社の先行きに対する投資家の不安が強まった。

原題:US Stocks End Week Lower on Fears of Another ‘DeepSeek Moment’(抜粋)

--取材協力:Kurt Schussler、Levin Stamm.

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