(ブルームバーグ):米国とイランによる攻撃の応酬は17日も続いた。先月交わした暫定和平合意に基づく停戦への早期回帰の可能性は一段と遠のき、原油相場は上昇した。
米中央軍は、米東部時間17日午後9時30分(日本時間18日午前10時30分)にイランに対する7夜連続の攻撃を終えたと、Xへの投稿で明らかにした。イランの監視施設や兵站(へいたん)インフラ、地下兵器貯蔵施設、海上戦力を攻撃したという。
1週間にわたる攻撃は、軍事目標にとどまらず、橋や公共インフラ、港湾施設にまで対象が拡大している。米中央軍はこれに先立ち、16日にイラン南東部チャーバハール港の監視塔を破壊したと確認。同塔はイランが商船の追跡・攻撃に利用してきたオマーン湾沿いの海上監視拠点の一つだと説明した。
北海ブレント原油先物は17日に約4.6%上昇し、1バレル=88ドル前後で取引を終えた。週間ベースでは4月以来の大幅な上げとなった。トランプ政権が空中給油機の追加派遣についてイスラエルに通知したと、米ニュースサイトのアクシオスが報じたことが材料視された。米軍の作戦が今後数日で拡大する可能性を示唆する動きとみられる。アクシオスは米・イスラエル当局者3人への取材を基に伝えた。
イラン国営メディアによると、米軍は港湾の監視塔のほか、夜間に道路橋6カ所を攻撃した。国内唯一の原子力発電所が立地する南部ブーシェールや、西部ロレスターン州への攻撃も報じられた。カーグ島に停泊中の空荷のタンカーが再び米軍の攻撃を受けたと、イランのメディアは伝えている。このタンカーは数日前にも標的となっていた。
停戦合意はホルムズ海峡の通常航行の回復と、長期的な和平協議の枠組み構築を目的としていた。だが応酬の激化を受け、合意はもはや立て直せないとの懸念が強まっている。

イランは米国の攻撃への報復として、クウェート、ヨルダン、バーレーンの米軍基地を攻撃。この3カ国は先週初めに戦闘が再燃して以降、イランの反撃の矢面に立たされている。ホルムズ海峡にあるオマーン領サラマ諸島も標的となった。米CBSニュースは当局者の話として、ヨルダンの基地への攻撃で米軍関係者数人が負傷したと報じた。
米中央軍は17日夜、コメントの要請に直ちには返答しなかった。
タスニム通信によると、イランはカタールにある米軍のレーダー施設や航空機も攻撃した。カタールは米イラン間の交渉で主要な仲介役を務めている。アクシオスは17日、イランがサウジアラビアの米軍基地に弾道ミサイルを発射したと報道。イランはここ数カ月、サウジ国内の標的への攻撃をほぼ控えてきただけに、事実であれば地域的なエスカレーションを意味する。
クウェート政府は、海水淡水化・発電プラントが攻撃を受け、多数の発電設備が損傷したと発表した。
トランプ米大統領は16日夜の国民向け演説で、中東情勢を改めて成功と位置づけた。米国は「イランで大きく勝利しており、その成果は間もなく目に見える形で表れる」とし、内政問題へと話題を移した。
中国とパキスタンは事態の悪化に懸念を表明し、米イラン双方に敵対行為の停止と対話の再開を求めた。
敵対行為は激化しているものの、その規模は3月から4月初旬の戦争最盛期ほどには達していない。当時は米国とイスラエルがイランの都市に大規模な空爆を実施し、これに対してイランは湾岸アラブ諸国やイスラエルに向けて数千もの無人機やミサイルを発射していた。
ただ、イランが海上での攻撃を続け、ホルムズ海峡を通航する全ての船舶に事前許可を求める姿勢を崩さない中、双方が事態を一段とエスカレートさせる公算は大きいと、ジョージタウン大学カタール校のメフラン・カムラバ教授(政治学)は指摘する。
カムラバ氏は17日、ドーハからブルームバーグテレビジョンに対し「今回の攻撃は、今後さらに深刻な事態が起きる前兆だ。どちらの側も望んでいないが、後戻りできないエスカレーションの連鎖に依存する状況に陥っている。報復の応酬は、重要インフラへの攻撃とその報復という点で、極めて危険な段階に入っている」と語った。
米国は空爆の頻度を高めるだけでなく、イランの港湾封鎖を再開し、原油輸出に対する制裁の適用除外も撤回した。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナリスト、ベッカ・ワッサー氏とディナ・エスファンディアリー氏は「イランにとってホルムズ海峡は重要な交渉材料で、簡単に手放すことはない」と述べた。また、「航行の自由と原油輸送の継続を確保したい米国も、引き下がることはない。高強度戦争は避けたいという双方の意向があるとしても、危険なエスカレーションの連鎖に陥る可能性がある」と分析した。
原題:US Renews Strikes on Iran, Pushing Oil Up Most Since April (3)(抜粋)
--取材協力:Jennifer Zabasajja、Derek Wallbank、John Harney.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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