ペルシャ湾からの原油輸送の主要な手段の1つとしてここ数カ月で急拡大してきた「シャトル輸送」が、イランによる最近の石油タンカー攻撃を受け、危機にさらされている。

この輸送手法は、アラブ首長国連邦(UAE)などにとって戦時下の重要な生命線となっている。14日には船員2人が死亡したが、それでも用船料が異例の高水準にあるだけに、輸送が一時停止してもその期間は短い可能性がある。シャトル輸送の大半を担ってきたUAEの考え方に詳しい関係者によると、同国は輸送継続に前向きで、方針を変更していない。ただ、ホルムズ海峡の通航については案件ごとに判断するという。

それでも、シャトル輸送に関わる少なくとも1社の船主はホルムズ海峡を通航しない方針を示した。別の船主も、最終的な通航可否を決める前に情勢の改善を見極める考えだという。いずれも匿名を条件に語った。

輸送の停滞は世界の原油市場にとって重大な意味を持つ。オマーン沿岸に沿って航行し、ホルムズ海峡の外側で別のタンカーに積み替えるルートを通じ、日量数百万バレルの原油が搬出されてきたためだ。こうしたシャトル輸送は、6月中旬に米国とイランが和平合意に達する以前から、世界の原油供給の均衡維持に寄与していた。同地域の情勢不安定化で、位置情報を発信したままホルムズ海峡を通航する船舶の数は急減している。

原油価格は今週、ホルムズ海峡で再び輸送が混乱するとの懸念からすでに10%超上昇している。ただ、ここ数週間に海峡を通過した大量の原油が供給の緩衝材となっている。もっとも、それらの多くは衛星による位置情報の発信を停止した「ダーク航行」の状態で輸送されており、実際の輸送量の変化を把握することは難しくなっている。

不安定な海運情勢を和らげる要因となり得るのが、米軍の支援を受けたホルムズ海峡通航だ。過去1週間に海峡を通過した約300隻の船舶のうち、ほぼ半数は米軍の護衛を受けた。米中央軍のホーキンス報道官は、米軍が支援した通航は14日夜に2桁に達したと明らかにした。

情勢が一段と緊迫する中、船主が直面する問題には、通航を嫌がる乗組員や日増しに上昇する保険料がある。事情に詳しい関係者によると、ここ数日で一部の乗組員はホルムズ海峡の通航を拒否しており、通航には代替要員の確保が必要になっている。また、国連の海運分野トップも攻撃の危険性を理由に通航を控えるよう船主に警告している。

通航を継続するかどうかの判断は、特にUAEに大きな影響を及ぼす。国際エネルギー機関(IEA)によると、同国の原油生産量は先月、過去最高を記録した。

背景には、アブダビ国営石油会社(ADNOC)の子会社や韓国の長錦商船(シノコー)が保有する船舶で、日量数百万バレルの原油がホルムズ海峡を通過していたことがある。この輸送プログラムに参加していた船舶が14日に攻撃を受け、輸送の実態に改めて注目が集まっている。

事情に詳しい関係者によると、シノコーの通航方針は現時点で明らかではないが、同社は15日時点でもペルシャ湾内にある少なくとも1隻について貨物の確保を進めていた。もっとも、それが同社がホルムズ海峡通航に前向きであることを意味するわけではない。

ADNOCとシノコーのコメントを要請したが、通常の営業時間外で返答はなかった。

原題:Iran’s Tanker Attacks Squeeze the Hormuz Oil-Shuttling Trade (1)(抜粋)

--取材協力:Patrick Sykes、Serene Cheong、Yongchang Chin、Leonard Kehnscherper.

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