(ブルームバーグ):クック米連邦準備制度理事会(FRB)理事は15日、AI投資拡大と最近の供給ショックが物価上昇圧力を高める状況にあって、現在は根強いインフレのリスクが労働市場軟化のリスクを上回っているとの認識を示した。
クック理事は首都ワシントンで開かれたイベントでの講演で、「インフレ鈍化の兆候が近く見られなければ、私は行動を起こす用意がある」と発言。その上で、「私はインフレ目標の達成に全面的に取り組んでおり、このコミットメントが揺らぐことはない」と語った。

14日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比で6年ぶりの低下となった。クック理事は、米金融当局が重視する物価指標では、インフレ率はなお目標を約2ポイント上回っていることを示していると指摘した。
連邦公開市場委員会(FOMC)は先月の会合で、政策金利を4会合連続で据え置いた。一方で、最新の経済見通しでは、当局者の約半数が年内に少なくとも1回の利上げが必要になると見込んでいることが示された。
インフレ率は2%の物価目標を5年余りにわたって上回って推移しており、根強いインフレへの懸念を表明する当局者が増えている。
ウォーシュFRB議長は15日、上院銀行委員会の公聴会で、物価安定の実現に向けたコミットメントをあらためて表明する一方、AIブームが必ずしも持続的なインフレにつながるわけではないとの見解を示した。
インフレと労働市場
クック理事はインフレと雇用を巡るリスクのバランスについて、1年前から認識が変化したと話した。1年前は労働市場にやや重点を置くべきだと考えていたが、現在は「ほぼ全ての指標」が労働市場の安定を示しているとの見方を示した。
「現在の労働市場が1年前よりも大きなリスクを抱えていると考える理由はほとんどない」とし、「このため雇用面のリスクは低下した。リスクのバランスはインフレ目標の達成に向けた責務に傾いている」と語った。
また、AI投資に伴う物価上昇圧力に加え、関税や米国とイランの軍事衝突に起因する供給ショックが、高止まりするインフレの要因となる可能性を指摘した。中東での紛争はエネルギー価格を押し上げたが、クック理事は物品価格の上昇について、「最近のインフレ加速はエネルギー価格だけの問題ではないことを浮き彫りにしている」と述べた。
さらに、中長期のインフレ期待がおおむね抑制されているように見えることに関し、「国民が連邦準備制度を信頼していることを示すこの兆候は心強い。だからといって気を緩めることはできない」と述べ、高インフレが「今後のインフレを押し上げる」リスクがあると指摘した。
クック理事は講演後の質疑応答で、現在の金融政策スタンスについて、やや景気抑制的との認識を示し、当局者には今後発表される経済指標を見極める時間的余裕があると述べた。
「FOMCには時間をかける余地があり、私自身も現在の政策が本当に景気抑制的なのかどうかを判断するため、さらに多くのデータを見極めることができる」と説明。また、今週発表されたインフレ指標については、「あくまで1カ月分のデータに過ぎず、1カ月だけでトレンドは形成されない。これをリアルタイムで非常に注意深く見守る必要がある」と語った。
原題:Fed’s Cook Says Prepared to Act If Inflation Doesn’t Cool (1)(抜粋)
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